2024年12月22日(日)

前向きに読み解く経済の裏側

2019年10月28日

 生活保護を現物支給にして、専門の福祉施設を作れば良い、と久留米大学商学部の塚崎公義教授は説きます。

(VictorHuang/gettyimages)

生活保護には両サイドからの批判あり

 健康で文化的な最低限度の生活を送る権利は、すべての国民に憲法が保証しています。したがって、生活保護の制度を政府が設けることは、当然の事です。しかし、この制度には両サイドからの批判があります。

 一つは、受給者に甘すぎる、というものです。40年間国民年金保険料を払い続けて来た高齢者が受け取る老齢年金よりも、年金保険料を一度も払わなかった高齢者が受け取る生活保護の方が多いのは、明らかに不公平である、等々の批判です。

 最低賃金で毎日しっかり働いている人よりも、生活保護を受けている人の方が良い生活をしている、という批判もあるようです。

 一方で、申請者に対する認定が厳しすぎるため、本当に支援が必要なのに受けられていない人がいる、という批判もあるようです。

 これは制度への批判ではないのでしょうが、制度の存在を知らない「情報弱者」を食い物にする「貧困ビジネス」の存在も問題とされています。ホームレスの生活保護申請を手伝ってやり、ホームレスに法外な家賃でボロ家を貸して儲ける、といったビジネスのようです。

刑務所に入りたい人がいる

 ホームレスが、冬になるとわざと犯罪を犯して刑務所にはいり、冬の寒さを凌いでいる、という話を耳にします。家族がいれば「彼らを犯罪者の家族にしたくない」、ということで犯罪を自粛する人は多いでしょうが、身寄りのないホームレスにとっては、合理的な行動なのかもしれませんね。

 しかし、これは政府にとってみれば大きなコストです。犯罪者を捕らえて裁判をし、刑務所を建て、看守を雇い、といったコストがかかるわけです。

 それならばいっそのこと、刑務所の独房と同じ広さの公営住宅を建て、刑務所の食事と同じものを無料で提供すれば良いのです。そうすれば、彼らが犯罪を犯す必要がなくなり、冬の間はそこで暮らすようになるはずです。

 その方が、政府にとっては遥かに安上がりです。警察官も裁判官も関与せずに済み、鉄格子も看守も不要なわけですから。


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