11月30日、ニューデリーで、初の日本とインドとの外務・防衛閣僚会合(「2+2」)が開催された。日本側からは茂木敏充外務大臣及び河野太郎防衛大臣、インド側からはスブラマニヤム・ジャイシャンカル外務大臣及びラージナート・シン国防大臣が出席した。会合の後、「第1回日印外務・防衛閣僚会合 共同声明」が発出された。概要を以下に紹介する。
・日印両国間の安全保障協力を推進する。主権及び領土保全の原則が保証され、全ての国が航行及び上空飛行の自由を享受できる自由で開かれ、包摂的で法の支配に基づいたインド太平洋地域の平和と繁栄に資する。
・二国間の防衛協力を深化させる。防衛当局間の日印共同訓練を定期的に実施 する。日本における初の日印戦闘機共同訓練に向けた調整を進める。
・物品役務相互提供協定(ACSA)の早期交渉妥結を図る。
・自由で開かれたインド太平洋を実現するため海洋安全保障及び海洋状況把握(MDA)に関する能力構築分野における協力を一層推進する。
・防衛装備及び技術協力を更に強化する。陸上無人車両(UGV)/ロボティクス分野での共同研究を推進する。
・日印両国の国防教育及び研究機関間の派遣プログラムを継続、拡充する。
・2019年9~10月に日本沖で実施された「マラバール2019」等、日米印3か国間の協力及び同年9月のニューヨークでの日印米豪外務閣僚級協議を歓迎。
・インド太平洋の平和及び繁栄を促進するためASEANの中心性及び一体性を支持する。2019年6月の「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」の採択を歓迎し、ASEANと協働していく。
・国連安保理決議に従った北朝鮮の全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な検証可能かつ不可逆的な廃棄を実現することの重要性を再確認し、関連する国 連安保理決議の明白な違反である北朝鮮による最近の弾道ミサイル発射を非難する。北朝鮮に対し早期に拉致問題を解決するよう要求する。
・南シナ海に おいて、航行及び上空飛行の自由、阻害されない適法な通商並びに国連海洋法条約(UNCLOS)に反映されたものを含む普遍的に認められた国際法の原則に従った法的及び外交的プロセスを完全に尊重した紛争の平和的解決の重要性を再確認した。
・脅威を増すテロを非難し、テロがこの地域における平和と安全に対する主要な脅威となっていることを認識した。テロリストの安全な逃避地とインフラを根絶しテロリストのネットワーク及び資金源を断絶しテロリストの国境を越えた移動を阻止するために取り組むよう全ての国に呼びかける。
上記に見るように、初の日印「2+2」の内容は、「自由で開かれたインド太平洋」地域のための安全保障協力である。日印の二国間協力を中心に据えながらも、日米印や日米豪印の三か国、四か国協力にも触れている。これは、かつて安倍総理が提案したインド太平洋地域における「ダイヤモンド構想」とも重なる。
さらに南シナ海問題では、ASEAN諸国との協力も重視されている。「自由で開かれたインド太平洋」地域という時、そこには、この秩序に挑戦しようとしている中国の存在がある。その中国の西の国境と接しているのがインドであり、中国の東に位置するのが日本である。その両国が海洋安全保障等で協力するには、大きな意義があるだろう。
この初の日印「2+2」を受け、安倍総理が12月15日からインドを訪問しモディ首相と日印首脳会談を行う予定だった。が、インド国内の治安の悪化があり、延期されることになった。いずれにしても、日印間の安全保障協力は、今後も強化されて行くのだろう。
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