中東を読み解く

2020年2月23日

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北朝鮮、イランの代替成果

 トランプ大統領は2月4日の一般教書演説で「米国は他の国の警察ではない」と指摘、18年に及ぶ米史上最長のアフガニスタン戦争を終わらせて米軍を撤退させたい、との姿勢をあらためて強調した。この紛争地からの軍撤退は大統領の選挙公約だ。

 しかし、トランプ大統領の意向とは逆に、軍撤退は進むどころか、イランとの緊張激化で中東に大幅な増派を余儀なくされているのが現実。イランを屈服させるという目標の達成は不可能になっている。また、大統領は昨年の夏ごろまでは、北朝鮮の核・ミサイル開発の抑制という成果を目論んでいたようだが、交渉の現状を見れば、これも困難になった。

 「大統領はイランと北朝鮮で外交的な得点を挙げて再選に臨もうとしたが、思惑は大きく外れた。だから、せめてアフガニスタンからの軍撤退に道筋を付けてアピールしようと焦っている」(外交専門家)。大統領は昨年9月、キャンプデービッドの大統領山荘にタリバンの代表を呼んで秘密協議を行おうとしたが、タリバンのテロにより、中止せざるを得なかった。

 タリバンのテロがその後も続いているにもかかわらず、タリバンとの和平協議を再開させたのは、どうしても米軍撤退という公約を実現したかったからだろう。しかし、このままでは米軍の撤退は進むかもしれないが、内戦の終結には至らない可能性が高い。

 タリバンがかつてアフガニスタンで政権を担っていた時、厳格なイスラム法を施行し、男はあご髭を生やすことを強制され、音楽や凧揚げも禁止された。女は外で仕事をすることや学校に行くことも禁じられた。米軍が撤退し、タリバンが権力を奪取すれば、アフガンにはあの「暗黒の時代」が復活する恐れもある。トランプ大統領はそれでも公約を実現したと誇示するのだろうか。

  
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