人海戦術を中心にして工場を立ち上げているのは日本だけ
「海外工場の設置に際して、人海戦術を中心にして工場を立ち上げているのは日本だけと言っても過言ではありません。こういう手間暇がかかるので『(生産は)やはり、日本じゃないとだダメ』という話をよく聞きますが、それは日本側の勘違いで、標準化ができていないだけです。日本企業のM&Aが上手くいかない背景もここにあります。今や9割はITで標準化できて、残りの1割を調整すればいいだけです」(藤野さん)
標準化の進んだ工場では、極端に言えば、現場作業員の習熟なども必要とせずに、短期間で立ち上げが可能になる。
全て投資不適格
先日、こんなこともあったそうだ。東南アジアの投資銀行が日本のある地銀に対して、日本の売上50~100億円規模の中堅企業に出資して東南アジア企業と連携させたい、という打診があった。その地銀がピックアップした有望な企業を10社ほど提案したが、「もっと普通の企業を紹介してほしい」と、全て「投資不適格」にされたという。
原価管理はエクセル、スケジュール管理はホワイトボード、品質管理はベテランの技術者が一人でやっていて、ERPといった標準的なシステムが全く導入されていない……。まさに、小説の事例通り、技術はあっても、それ以外の部分が、ガラパゴス化していることが原因だ。
「AI、ビッグデータ、IoTと言われますが、そもそも、デジタルデータというのは、それをどう流通させるのか? というのが重要なことです。それにもかかわらず、社内ですらデータが流通していないというのが、日本企業の現状です」(梶野さん)