部長でありながら課長の仕事をしているタイプ
部長でありながら課長の仕事をしているタイプも、部下からすると「使えない上司」です。本来は、課長よりは広い視野で部署のビジネスのデザインを考えるのが、ミッションの1つだと思います。ところが、そのような仕事を見つけられないから、課長と同じことをしているのです。担当役員が、それを問題視しないケースがあります。おそらく、部長が課長と違うことをして部署をかき回すよりは、同じ仕事をしているほうが安全と考えるのかもしれませんね。
しかし、これでは総額人件費の管理がどんぶり勘定になってしまいかねません。部長が課長と同じ仕事をしていても、課長よりも高い額の賃金を受け取っている場合があるのです。このような光景は依然として、多くの日本企業で見られます。個々の社員の在籍年数やポスト(職位)などをもとに、いわば「人に報酬がつく」形で賃金が支給されているからです。
一方で、欧米企業は「ポストに賃金がつく」ようになっています。部長が課長と同じ仕事をすることは、ほとんどないと思います。結果として、人件費の管理が日本企業よりは厳格になる傾向があります。
私はかねてから、部長や課長など管理職の部下育成を始めとしたマネジメント力が低下していることを危惧しています。育成で言えば、本来、上司は部下のよさを見つけ、自覚させてゆくことが仕事です。ところが、それができないケースがあります。
実は、私にも経験がありました。リクルートコスモスの頃、部下に(同社の)実業団アメリカンフットボールの選手がいたのです。当初、彼に給与計算の仕事をお願いしていたのですが、計算がやや苦手だったこともあり、時間内に正確にできない場合がありました。本人も自信を喪失しているようでした。
彼は、180センチ、100キロを超える大きな体でインパクトがありました。体育会で鍛えられたコミュニケーション力に期待し、新卒採用試験の担当にしたのです。実際、大勢の学生の前でおもしろいことを話します。学生からの反応はよく、人気者になりました。彼は、この仕事にハマったのでしょうね。
その後、退職し、人材紹介会社の経営を始めたのです。最近、約15年ぶりに連絡をもらい、会いました。当時のことを語り合ったのですが、今では社長として活躍をしているようです。うれしかったですね。
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