たしかに近代戦を決するのは制空権です。1939年、ナチスのフランス侵攻に際して、制空権はドイツ空軍が完全に優越していたので、英仏軍はいかんともし難かったと言われます。終戦直前の東京の空も、米軍の艦載機しか飛んでいませんでした。近くは、湾岸戦争、コソヴォ、アフガン、イラク、リビアでも、米国の制空権は絶対でした。それが脅かされる可能性があるとすれば、そのことは、かつての大英帝国時代に英国の制海権が失われたのと同じくらいの深刻な意味があります。
従って、空軍優勢だけは失ってはいけないのであり、オースリンはそれをよく指摘していると言えます。また、技術の進歩は速いので、あるいは米国がF-22の生産を停止し、F-35の生産が遅れている内に、中ロの迎撃能力がF-35の迎撃網突破能力を上回ってしまったのかもしれません。それが事実であるなら、オースリンも言うように、いくらコストがかかっても、F-22の生産を再開するしかありません。
■「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。