2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年5月21日

 Weekly Standardのウェブサイト4月29日付で、米AEIのMichael Auslinが、 米政府は、国防予算を削減しながら、米国の安全保障上の利益を守ると言っているが、そのためには、航空兵力だけはむしろ増強しなければならない、と論じています。

 すなわち、オバマ政権の軍事予算によれば、陸軍は2017年までに14%削減、海兵隊は2万人削減、戦闘機6個飛行隊削減、海軍艦艇もさらに減らされることになる。国防長官は、そうした態勢で米国の安全保障上の目的を達成していくと言っているが、そうした目的は、海空の空軍力を増強しなければ達成できない。

 しかも、ロシアや中国の対空防衛網は、もはやF-35では突破できなくなっていると言われる。この点は、確認する必要があるが、もし本当にそうであるなら、F-35の調達機数を減らしてでも、F-22の生産ラインを再開しなければならない。同時に、長距離ステルス爆撃機の改良にも力を入れねばならない。

 専制政権の軍が近代化してきたため、戦うことは前よりも危険なものになっている。よりスリムで費用効率の高い軍でもって、世界中の危機にうまく対応する能力を維持したいのであれば、米国の指導者たちは、制空権の維持こそが米国の軍事的優位保持の出発点であることを認識しなければならない、と言っています。

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 オースリンは日本問題の専門家であり、安全保障関係の実務に関与した経歴はありませんが、しばしば海空軍戦略について論じ、そのピントも良く合っています。よく勉強しているのだろうと思われます。


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