2024年11月23日(土)

古希バックパッカー海外放浪記

2020年3月22日

スーパーのそれなりの自転車

キャンプした公園の聖人像。自転車泥棒に聖人の祈りは届かなかった

 5月9日(日)、マウロは「午後から非番だから」と彼の車で郊外の大型ショッピングモールへ案内してくれた。スーパーの一角に自転車売場があった。

 折り畳み自転車も三種類並んでいた。前後に荷台があり、サドルが固い少し高いモデルを選んだ。係の店員が30分ほどで新車を組み立てた。ワイヤーロック、ランプ、ベルなど付属品も併せて230ユーロ(=2万9000円)。

 自転車に乗ってショッピングモールを出た途端に仰天。タイヤの空気が半分も入ってない。ブレーキワイヤーが伸びたままで前輪も後輪もブレーキが効かない。サドルとペダルも取り付けが甘くてグラグラ。スタンドはネジがゆるゆるで下に垂れている。とんでもない手抜きに怒るよりも笑ってしまった。

 売場に戻ってくだんの店員をつかまえて不具合を指摘すると、笑いながらOK、OKと作業場へ向かった。戻ってきたらやはり空気圧不足でブレーキも頼りない。

 店員にこれ以上言っても無駄と諦めて警察署までゆるりゆるりと走った。警察署の近くの小さな自転車屋のプロのオヤジに全体調整してもらうつもりだった。

 翌日の月曜日、オヤジの店で細部まで調整。20ユーロの手間賃にみあう丁寧な仕事ぶり。警察署の周囲を一回り走ったが完璧の仕上がり。

 あっぱれなので“自転車の巨匠”(Gran Maestro di Bicicletta)と大袈裟に褒めたらオヤジは大いに照れ笑いした。

次回に続く

  
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