チャイナ・ウォッチャーの視点

2012年5月24日

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 こうした執拗な働き掛けや、世界ウイグル会議の大会開催後の日本に対する報復的なハイレベル交流の凍結は尋常ではない。このあわてぶりは隣国、日本が「新疆独立運動の拠点」となるのを中国指導部が最も恐れていることを示している。

「カーディル女史は暴動の首謀者」と非難

 新疆ウイグル自治区では、トルコ系ウイグル族の独立運動が根強く続いている。北京五輪開幕直前の2008年8月には、同自治区カシュガルの武装警察部隊が手製爆弾などで襲撃され、警官16人が死亡するテロ事件が発生した。

 また、09年7月には区都ウルムチでウイグル族のデモから大規模暴動が発生、漢族との対立が深まり、中国側によると、漢族ら197人が死亡、1700人が負傷。中国建国以来、最大規模の少数民族の暴動事件となり、3暴動に関与したとして35人に死刑判決を言い渡された。

 「カーディルは暴動の首謀者だ。ウイグルの独立運動を続けており、テロ組織とも関係を持つ。(中国からインドに亡命中のチベット仏教の精神的指導者)ダライ・ラマ14世に比べ、レベルが低く、ウイグル自治区について主張する内容もうそが多い。ウイグル独立勢力と日本の右翼が連携して反中国の動きを強めている。尖閣問題でも同様の動きがあり、これらを容認するのは、日本政府が対中国政策を変更したためではないかとの見方も出ている」。中国の外交筋はこう懸念を表明した。

「日本の尖閣の実効支配を打破」

 今年3月16日、尖閣諸島付近の海域で中国の監視船2隻が日本の接続海域に入り、うち1隻は25分間、領海内に侵入した。これに関連し、中国共産党の機関紙、人民日報は3月21日付の紙面に、中国海洋局傘下の中国海監(海上保安庁に相当)の東シナ海総隊責任者に対するインタビュー記事を掲載した。

 「定例巡航で主権を示す」と題した記事によると、責任者は16日から始めた尖閣海域での巡視活動について「実効支配を続け、時効によって釣魚島(尖閣諸島)を得ようとする日本の企みを実際の行動によって打破し、中国の主権を示す」「今年に入って、日本の官民が釣魚島問題で頻繁な動きをするため、これに対応した」と二つの理由を挙げた。

 また、責任者は06年7月に東シナ海海域で「主権を守るための定期巡航」を初めて実施、07年3月には同定期巡航の制度を確立したと説明した。

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