2024年11月22日(金)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2012年5月24日

中国が恐れる「2022年問題」

 日中軍事筋によると、中国には「実効支配が50年続くと国際法の判例で尖閣が日本の領土として定着しかねない」との強い危機感がある。1972年5月の沖縄復帰により、尖閣諸島が米国から返還されて50年後は2022年5月となるため「2022年問題」ともいわれる。

 責任者は「巡視活動は日本が40年間にわたって次第に強めてきた実効支配を弱める効果がある」と説明。日本側の動きとしては(1)議員の尖閣視察や上陸(2)尖閣を含む無人島の命名(3)海上保安庁法と外国船舶航行法改正の動き-を列挙し「実効支配を強化しようとしている」と決め付けた。

都知事の発言やウイグル大会で態度硬化

 中国の外務省や学者は尖閣問題の棚上げを主張してきたが、中国の海洋権益を守る中国海洋局は「日本の実効支配を弱めるための定期巡航」を行っており、棚上げではなく、実際の行動によって、現状を変更しようとしている。

 つまり、尖閣をめぐる最近のさまざまな日中間のトラブルをも理由に挙げているが、実効支配の打破が目的なら、そうしたトラブルがあってもなくても定期巡航(故意の領海侵犯を含む)を行うというロジックとなる。この点に日本政府は注意を払うべきだ。

 中国指導部としては、尖閣をめぐる3月までのさや当てに加え、4月には石原都知事の尖閣購入計画が表面化、5月の世界ウイグル会議の大会も開催されることになり、態度をさらに硬化させた。

「あいまい戦略」で日本に圧力

 温家宝首相が野田首相との会談で中国の「核心的利益」について述べた部分(5月14日付人民日報)は次の通りだ。


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