2024年11月22日(金)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2012年5月25日

 まだある。財政破たん状態からの経済財政再建は結局国民の負担と自助努力によらざるをえないという厳然たる事実だ。ギリシャがユーロ圏を離脱して、EUからの手厚い資金支援や政策サポートがなくなれば、なおさらだ。

 もっとも、財政破たんしているわけではない日本にとっては、足元の関心事は別のところにある。財政制約と成長失速の欧州でどのような成長政策が出てくるかとの点だ。

 もしEUから効果的で即効性がある成長政策が出てくれば、日本にとっては千載一遇のチャンスだ。日本では何度も立派な成長戦略が策定されてきたが、大きな効果がもたらされることはなかった。欧州の打ち出す政策が極めて有効だとすれば、日本も万難を排して同じような施策をすぐに打つべきだ。

 「失われた10年」に示されるように、近年の日本は先進国の中でも一際深刻な経済情勢が続いてきた。しかし、足元欧州と立場が逆転しつつある。日本を追い越して課題先進国となったEUの政策対応によっては、日本経済の活性化に大きなヒントが得られるかもしれないのだ。

 EUでは、6月28日から29日にかけてEU首脳会議が行われる。そこでどのような効果と即効性を持つ成長政策が出てくるのか、日本にとってはこれからの欧州情勢が一大関心事といえる。

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