ロサンゼルス市は最高1500ドル支給
元々様々な面でトランプ政権とは合わないカリフォルニア州。今回の一連の知事の発言は、未だ州内でくすぶる「独立への動き」を刺激するものになるのではないか、と懸念する向きもある。さらに付け加えたいのは、この独立運動には様々な種類があり、カリフォルニア州を国家として独立させるもの、シリコンバレーを含むカリフォルニア北部のみを独立させるもの、カリフォルニア州を3分割するもの、などが代表的だ。
今回のコロナウィルス対策でも、サンフランシスコ周辺の自宅隔離要請がまず3月16日に行われ、その後州全体の外出禁止令が出されたのは19日。日本でも「外出禁止令を出すのが早かったため、カリフォルニアとニューヨークには大きな差がついた」という報道があるが、ロサンゼルス周辺は今も感染増を抑え込めておらず、北カリフォルニアにかなりの遅れを取っている。
ロサンゼルス市のエリック・ガルセッティ市長は連邦政府による経済刺激策、年収7万5000ドル以下の人に一律1200ドルを支給する、に加え、新たに「アンジェリーノ・カード」というデビットカードの支給を念頭に入れている、と発表した。これは年収が1万2400ドル以下の貧困ラインギリギリの人々に対し、1人ならば700ドル、以降同居家族の人数に応じ最高で1500ドルがあらかじめ入金されたカードを支給する、というものだ。
カリフォルニア州の4月14日現在の感染者数は2万4579人、死者714人。しかしロサンゼルス郡はこのうち1万人以上を占め、過去48時間の感染者数は909人だ。北カリフォルニアが「ピークを越して収束に向かう」としていることに違和感を覚える人は多いはずだ。つまりニューサム知事は北カリフォルニアを中心に物事を考え、ロサンゼルス市長は州とは異なる住民救済策を打ち出さざるを得なくなっている。
国家と州、そして州内部でも南北間の格差など、コロナウィルスは様々な米国の分断をますます浮き彫りにしつつある。
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