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2020年4月10日

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9日、NPOロサンゼルス・フードバングから食料品を受け取る市民。この日は2000箱が用意された(REUTERS/AFLO)

 ロサンゼルス郡全体の感染者が4月7日ついに1万人を超えた。1日の感染者数は1000人に迫っており、郡の公衆衛生局は「家に買い置きがあるなら今週は買い物も控えるよう」呼びかけている。

 そんな中、ロサンゼルスのガルセッティ市長が最も恐れていたことが起きた。市周辺に存在する5万人とも言われるホームレス、彼らが感染源になることを恐れ、市長はホームレスの収容に力を入れてきた。ホテルの部屋の買い上げに加え、キャンピングカー、そしてレクリエーションセンター(公民館のような建物)を総動員し、1人でも多くのホームレスを定まった場所に留めるよう努力してきたのだ。

 ところが、4月8日、レクリエーションセンターに収容されたホームレスの1人が新型コロナウィルスで陽性反応が出たことが明らかになった。時既に遅し、このホームレス男性の感染源は特定できず、市中には陽性のホームレスが多数存在することがほぼ確実となったのだ。

 最初にホームレスの陽性患者が確認されたのは3月30日、ただしこのホームレスは市の中心部ではなくビーチ周辺にいた。その後もう1人も確認された。これが市のスキッド・ロウと呼ばれるホームレスが多く集まった地域での感染爆発につながる前に、ホームレスを施設に収容する、というのが市長の考えだった。

 しかし動きは遅すぎたとも言える。ロサンゼルス市警では、スキッド・ロウを重点的にパトロールしていた警察官の陽性も確認されており、すでにホームレスの間で新型コロナウィルスは蔓延していると言わざるを得ない。

 もし彼らの間に多数の重症患者が出ればどのようなことが起きるのか。ダウンタウンなどの通りに倒れた人があちこちに見受けられ、死体が転がっているのがごく普通の光景になるかもしれない。ホームレスの人々は狭い空間に集中しており、ひとたび感染が広がればまさに燎火のごとく広がるだろう、と言われているのだ。

 しかも衛生状態の悪いホームレスは医療従事者にとっても扱いが難しい。ただでさえ医療従事者の感染はロサンゼルス郡だけで450人以上と報告されている。看護師によるデモも行われ、より多くの医療器具、人員補充が求められている。

 ホームレス予備軍となっている人々の状況も深刻だ。4月8日には、無料で食料品を配るセンターに長い列が出来た。外出禁止令により職を失った人らが先行きに不安を感じ、これまで訪れなかった低所得者のための食料配布を求めるようになったのだ。

 しかし配布される食料は確実に減っている。そもそもは、スーパーやファストフードなどで賞味期限切れ寸前になった食品をボランティアが集め、センターに搬入していた。しかしコロナパニックにより一般市民の買いだめが進み、余剰として回される食料品が出にくい状態が続いている。

 さらに問題なのは流通網の分断だ。カリフォルニアは全米でも有数の農業資源を持つ州だが、そこで農産物の廃棄が行われているという。ある農家はその理由について「レストラン、ホテルなど大量注文をしてくれる顧客がなくなり、農産物を売る手段がない」という。一般のスーパーマーケットなどには独自の流通網があり、契約農家がある。そこに突然参入するのは難しいのだという。

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