終息後の新常態
問題はコロナとの闘いの時間軸である。仮にコロナの終息時期が20年後半より先になり、21年にも流行の第2波が訪れるとしたら。あまり考えたくないシナリオだが、IMFによれば、その際の世界経済は20年にマイナス5.8%成長となった後、21年もマイナス1.5%成長となる。その際、高失業の長期化に民主主義社会は堪えられるだろうか。
先行きは予断を許さないにせよ、今回のコロナ禍が新たな経済社会の形成を迫っているのは間違いない。
電子商取引は急速に伸びているし、オンライン会議やオンライン授業を支えるオンラインサービスは飛躍期に入った。通信インフラとしての5G(第5世代の移動体通信)の普及にも拍車がかかる。日本電産の永守重信会長はこう喝破する(「日本経済新聞」4月21日)。
「コロナ終息後は全く違った景色になる。テレワークをどんどん取り入れる劇的な変化が起きる。東京都内の会社に勤める人が山梨県に仕事部屋のある広い家を建てるようなケースが増えるだろう」
医薬品の開発にもこれまで以上にヒト、モノ、カネが投入され、新型コロナの治療薬やワクチンの開発の過程で思わぬ副産物が発見されるかもしれない。医療といえば、これまで何だかんだと抵抗があり進まなかったオンライン診療が、広まるきっかけになっている。
コロナ禍があぶり出した社会的な需要に応える、新たな産業の芽をどう育てるか。危機を新たな成長機会につなげる知恵と戦略が、この日本にも求められている。
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