2024年7月16日(火)

Wedge REPORT

2020年5月10日

コメ先物で投資する手も

 コメに投資する手もある。国内にはコメ先物市場があり、将来のある時点でコメを一定の価格で売買する契約を結べる。ただ、トン単位のコメを扱うので、個人では到底消費できないレベルになる。俺はこれだけコメを持っているんだ、という心理的な安定にはなるかもしれない。受け渡しの期日までに売り抜ければ、現物(コメ)を引き取る必要はない。

 個人投資家が始めやすいものに、1万円以下の少額から投資でき、現物の授受のない「コメeワラント」がある。こうした取引に参加し、相場を知れば、不合理な消費行動をすることもない。加えて、運用に成功すれば儲けになる。

「主食であるコメを投機対象にするとは」と目くじら立てるのは、自民党の農林族とJAに任せておけばいい。先物取引の嚆矢は、江戸時代に大坂堂島米会所で始まったコメ先物取引だとされる。先人たちは、世界に先駆けて主食を投機対象にしていたわけだ。

米穀業界紙で流通を知る

 「情報は力」と言う。業界紙を読んで、主食の相場や流通の現状を把握するのも手だろう。世の中には米穀業界紙が複数ある。その読者は、スーパーの棚にコメを買いに走るなんて愚行はしなかったはずだ。

 ちょうど筆者の手元に「米穀新聞」 (米穀新聞社Tel:03‐3669‐5461)がある。毎週木曜日発行で、相場やスーパーの小売価格の変動、作付けの状況などを伝えている。購読料は年1万6200円(税込)。米穀業界紙の購読料は総じて安い。国内のコメ取引は相対取引(実需と卸や生産者の直接取引)がほとんどで相場が明らかでないので、米穀卸や米穀店、奇特な農家はこうした業界紙の相場情報を基に取引する。業界紙を読んでいれば、主食に関してパニックになることはない。

コメは米屋で買う

 何より、米穀店でコメを買ってほしい。米穀店は有数の斜陽産業だ。コロナ禍で、その不景気さに世の中が追いついてきた感はあるが、業務用需要の急落で経営はさらに苦しくなっている。ある県など、40代の米穀店主が2人だけいて、あとは後継者がおらず、閉店するのが時間の問題の店ばかりだそうだ。都内でもすさまじい勢いで店舗数が減っている。

 仕入れ先が画一化しがちなスーパーやドラッグストア、ホームセンターに比べ、米穀店は仕入れルートが多岐にわたる。食料安全保障の面で、食料自給率の向上うんぬんよりも、米穀店を存続させる方が、消費者にとってはよほど重要ではないか。もともと人でごった返すところではないので、感染予防の面でも米屋に行くのは合理的だろう。配達をしてくれる店も多い。

 店頭精米をする店が多く、その場合、分搗きも対応してくれるから、五分搗き、七分搗きといった好みの搗き具合で、より美味しく食べることができる。店主はコメのプロだから、今年のコメの出来や、おすすめの品種、相場など、聞けば教えてくれるはず。訪れれば、コメとの距離が縮まること請け合いだ。


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