2024年7月20日(土)

人事部必見! 御社の研修ここが足りない

2012年6月12日

 この時代の流れが新入社員研修に反映されたわけだ。「効果を見るのは10年後でいい」というのも日本郵船の独自の発想。そこに広大な海を航海する雄大さがある。グループ社員58,000人を率いていくのは、1,000人の事務系社員たち。新入社員全員が幹部候補生であり、グローバル化に対応する強い人材になってもらわなければならない。即戦力ではなく将来を見据えた教育研修が大事になるということだ。

 新人の時に日本人がいない海外で、子会社の上司の下で現地作業員と仕事をする。ここで自立することを学び、多くの部署を異動してチームワークを磨く。そして海外勤務にも就き、経験とノウハウを培っていく。可愛い子には旅をさせろ! だと感じる。日本郵船が求める人材は、座学だけでは育たない。海の男たちを連想させる。


「企業DNAを身に付ける新人研修」
総務CSR本部人事グループ 吉田 芳之 経営委員

吉田芳之氏 (撮影:著者)

人材育成は研修とOJTの両面展開を基本にしています。一方、個人プレーだけでは船もお客様の貨物も動かすことはできませんから、チームで仕事をすることを重視しています。そのため、みんな運命共同体という意識が強いのが企業文化といえるでしょう。チームプレーは研修だけでは身につきませんから、日ごろのOJTが重要になります。それだけコミュニケーションも活発になりますし、相談できる上司・同僚が常にいる。メンタル面でもいい結果がでています。
といって研修を疎かにしているわけではありません。むしろ、充実した誇れる内容だと考えています。具体的にはグループ会社が運営する50種類以上の研修を実施しており、世代や職務ごとに、必要な研修に参加することができます。
新人研修はユニークとみられるでしょう。日本人もいない地域に新人だけを派遣してしまうのですから。行く前は不安もあると思いますが帰国後の報告会を聞くと、みんな逞しくなって帰ってきます。ほんの1カ月間ですが、日本とは言語も文化も気候も異なる環境下で、初めて一人で業務をやり遂げたことによって得られる充実感と自信を実感します。こういった経験を通じて、日本郵船が永年にわたり築き上げてきたDNAが宿るのではないかと思います。
現在の我が社の業務は、海・陸・空にまたがる国際的なネットワークを構築し、様々な貨物を運ぶだけに、グローバル化は当たり前です。一方、グローバル化された業務では、バックグラウンドの異なる人たちと触れ合うことになります。そのため我が社では、新人の時に国内外の港湾倉庫で、現場研修をすることによって、異文化を受け入れる土台を作ります。もちろんその後の自分たちの努力も大事ですが。異文化に触れてくることは理屈ではなく、また数値化された成果でもない、五感で感じたことが将来に生かされてくると考えています。
このような考え方から新人教育を始めました。グローバル化は日本的な風土を壊すことではありません。また逆に、日本的ビジネス感覚を押し付けることでもない。どのようにマッチングさせていけばよいのか試行中ですが、まずは海外の物流現場で、異文化に肌で触れてくることが第一歩と考えています。

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