2024年11月22日(金)

社食に企業の想いあり

2012年6月19日

社内にある植物工場では、たくさんの葉物類が育てられている

 目に入っただけでも、サニーレタス、キュウリ、ゴーヤ、スプラウト、タカノツメ、ミラクルフルーツ、レモンバーム、パッションフルーツなど。これらの管理は主に10人程度が所属するアーバンファーム事業部が行っているという。館内で育てた野菜は社食で提供されるほか、淡路島などの自社農場から直送された野菜を社内でワゴン販売している。鮮度の良い野菜の販売は、社内に多い兼業主婦たちにも喜ばれているという。

 パソナグループがこのビルに移転してきたのは2010年。築50年以上のビルをリノベーションしている。室内栽培は移転前の2005年から着手しており、そのノウハウの蓄積を、移転後に全館に用いることとなった。

 「移転前は農業に興味を持っていただくというのがテーマでしたが、移転後はこれに加えて『健康』というキーワードが加わりました。室内で野菜や植物を栽培することで、社員の心と身体の健康につなげています。その成果は社員食堂を見てください」(広報室・アリス ニューマンさん)

3カ所ある社食はその日の気分で選ぶ

 1,500人以上が在籍するこのビルの中にある社員食堂は全部で3カ所。地下1階、1階、そして9階だ。「水辺のロビー」と隣接する1階の食堂では、パンとスープ、カレー、麻婆豆腐など、「カフェご飯」というような言葉がぴったりくる軽めのメニューを提供する。9階では、定食メニューが充実。ご飯と味噌汁、小鉢、メインとなる料理を選ぶと、あとはサラダバーが取り放題だ。価格は400~500円で、付近の飲食店で提供されるランチの約2分の1。今回は、ビュッフェスタイルの地下1階の食堂に案内してもらった。

 地下1階の食堂スペースは、派遣スタッフの勉強会や講習に利用されることもあり、「サロンのような雰囲気」(アリスさん)。食堂横には、社員や派遣スタッフが利用できるネイルサロンやリフレクソロジーも完備されている。

適量を調整できるビュッフェスタイル
野菜の味は「濃くて甘い」

新鮮野菜を含めたおかずが取り放題で500円の地下の社食。新入社員も思わず笑みがこぼれる

 約90席ある食堂の中央に置かれた机に、大皿が15皿ほど。それぞれにおかずが盛られている。肉や魚料理もあるが、サラダや野菜の炒め物など、全体的に野菜が多い。野菜は社内の室内栽培で取れたもののほか、栃木や淡路島の自社農場から産地直送されたものもある。これらが取り放題で500円。

 白い皿に野菜を多く取り分けていたのは、営業部の豊村倫代さん(24)。「3カ所ある社員食堂のうち、どこを選ぶかはその日の気分で決めます。地下1階のビュッフェスタイルは、自分で食べたい量を調節できるところがいいですね。ひとり暮らしだと栄養が偏るので、社員食堂は食生活のバランスを取れる場所」。野菜の味について感想を聞くと、少し照れながら「新鮮な感じがします」と答えてくれた。


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