2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年6月26日

 捕まったタリバン兵士などへの尋問から、パキスタンの軍情報部ISIがタリバンと深い関係を持っていたことが明らかになってきており、そこに他の事情も絡んで、米・パキスタン間にはかってないほど不信感が高まっています。関係修復はほとんど不可能な状態と言えます。

 そうした中で、ライデルは、パキスタンが協力してくれなければ、米印アフガン連合が結成されるとパキスタンを脅し、タリバンに圧力をかけさせて、タリバンを米・カブール両政府との政治的和解達成に向かわせることを提唱しています。

 こうした外交は、パキスタンを中国側に決定的に追いやってしまうなどリスクも大きく、また、撤退する米国のこうした脅しをパキスタン側が真剣に受け止めるかどうかもよくわかりません。ただ、他に方法がないので、米国がこういう手に出る可能性はあると思われます。

 パキスタンにとっては、対インドとの関係で戦略的深さを持つには、アフガニスタンに親パキスタン政府が存在すればよいのであって、それがタリバン政権であっても構わないわけです。このように、アフガン戦争に関する米国とパキスタンの戦略には、当初からずれがあり、双方ともそれを調整しようと努力してきたものの、上手く行かなかったということです。せめて米軍撤退前後にパキスタンの協力を得て停戦が実現すれば、それでよしとすべきでしょう。


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