最後の栄光があることを信じたい
前出のOBは「もしかしたら大輔は自分が特別扱いされていることを分かっていないのか、あるいは気付いていても認めたくないとしてスネているのかもしれないが」と前置きし、次のように続けた。
「厳しい言い方かもしれないが、5年のうちで僅か1年しか働けていないのに、40歳まで現役を続けていられるのは松坂大輔のブランドとネームバリューがあるからこそ。普通の選手ならば、まずありえない。しかも、その2018年シーズンだって監督がモリシゲ(森繁和氏の愛称)さんじゃなかったら、どうなっていたか分からない。これだけ恵まれた環境にありながら、この程度の働きしかできていないのだから、メディアやファンから批判されるのは仕方がないと受け止め、むしろきちんと向き合って前向きに進んでいくべき。そういう覚悟があるからこそ大輔は今もプレーしているものだと思っているが、こうやってコソコソするかのような対応をずっと繰り返している姿を見ていると、単純に現役にしがみついているだけなのかと邪推せざるを得なくもなってくる」
補足すると、松坂本人だけの問題ではない。これまで大甘な契約を結んだ球団側にも、責任はあるように思う。昨オフに14年ぶりとなる古巣復帰のチャンスを与え、事実上のラストロードとして引退への花道を設ける選択をとった西武にとって功労者の松坂獲得は確かに勇気ある決断だった。それでも松坂自身がこのような体たらくと不遜とも感じられるかのような態度を連発させていると、晩節を汚してしまうことにもなりかねない。
引退前にもう一花咲かせ、堂々と公の場で胸を張れるような姿を見せられれば、想像もつかないドラマチック過ぎる展開に世の中は飲み込まれ、今までの批判の嵐もおそらく封印できるだろう。かつて日米で「怪物」と呼ばれ、伝説を築き上げてきた男に最後の栄光があることを信じたい。
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