パワハラ問題も
現時点でも協会には別件で逆風が吹きつけている。中川親方の暴力パワハラ問題だ。あれだけ相撲界全体が再三、暴力根絶へ一丸となっていたにもかかわらず同親方は中川部屋の弟子たちに暴力や暴言を日常的に繰り返していたことが発覚。協会側は今月13日の臨時理事会で同部屋を閉鎖し、中川親方に「委員」から「年寄」への2階級降格の懲戒処分を下したが、懲戒解雇や退職勧告の厳罰ではなくまさかの相撲界残留を容認したことで世間から「大甘処分」とぶっ叩かれている。
阿炎らのガイドライン破りは間違いなく、とんでもない不祥事だ。それでなくてもコロナショック、そして暴力パワハラ問題と立て続けでダブルパンチに見舞われている協会側は頭が痛い。しかしながら師匠の錣山親方が包み隠すことなく協会側へ迅速に報告したことで、相撲界全体にとってのイメージダウンはとりあえず最小限で済んだと言えるのではないだろうか。
今場所を全休する阿炎への処分は千秋楽終了後の理事会で議論される方針。厳しい審判が下されそうだが、個人的には阿炎らの聞き取り調査を今後も継続し「夜の店」へ行った理由についてさらに深く追求して情報を入手すべきと考える。どういう経緯になっていたかは現時点で分からないが、もしも〝タニマチ〟と言われるような関係者からの誘いがあったとするなら、その再発防止を図る意味で協会側は「声をかけた側」への何らかの処罰も一考してほしい。そうでなければ、この手の問題は今後も繰り返されそうな気がする。
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