中国においては、歴史は王朝の正当性に貢献するものであり、法は王朝の支配のための道具である、というのが長年の伝統であったと言ってよいでしょう。領有権問題への対応などを見ていると、中国は、現在でもこうした意識から抜け切れていないかのようです。
中国が、歴史を書きかえ、地理的現実を無視し、国際法をご都合主義的に解釈することを、簡単にやめるとは到底思われません。それゆえ、周辺地域の海洋での対立も、中国が戦術的に硬軟両姿勢をとるなどして、強弱はあるかもしれませんが、近い将来に止む見通しは、まずありません。
なお、バウリングは、中国側が1932年にスカボロー礁の領有権を主張したと述べていますが、一般的には、1935年1月に中華民国水陸地図審査委員会が同礁を中華民国の版図に入れたことを領有の根拠としているようです。
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