この3つの目標とは何か、わかりやすい例を挙げてみると、わがまま放題だった少年が(1)他人の話を聞いて相手を尊重できるようになり、(2)周囲とコミュニケーションが取れるようになることや、課題や学習が長続きしない少年が、(3)最後まで我慢強く課題や学習に取り組めるようになるなどである。
たとえ課題は苦手であっても、最後まで取り組めたことに意義があり、大きな進歩があったということである。
水府学院の一日
では、彼らはどんな生活をしているのだろうか。水府学院の主な一日をパンフレットより引用してみたい。(一部加筆)
7時 起床・洗面・清掃
7時30分 朝食・休憩・身辺整理
8時30分 読書
9時 朝礼・課題(実習)
12時 昼食・休憩・身辺整理
13時 昼礼・課業(実習もしくはクラブ活動)
15時30分 課業(実習)終了・その後自由時間
17時 夕食・休憩・身辺整理
18時 入浴・集会(1日の反省)・休憩
19時 日記記入・自主学習
20時 テレビ視聴
21時 就寝 ~以降は延灯学習あり。
上記内容を磯辺法務教官に補足していただいた。
「13時からの実習は曜日によってクラブ活動になります。文化系としては美術クラブと音楽クラブ、体育系ではフットサルクラブとトレーニングクラブという計4つのクラブ活動があって、美術と音楽については外部の先生にお願いしております」
「15時半に実習が終わると夕食まで自由時間なので、この時間は勉強をしたり洗濯当番の人は同じ寮に生活する全員から服を出してもらって洗濯をしたりします。15日くらいに1度回ってくる当番で、その日は一人で15~20人分を洗濯します。日記はその子が何を考えているかわかる大事な材料ですから、しっかり書かせ我々も一人ひとりにコメントを書きます。熱心な先生の場合ですと、日記の量よりもコメントの方が多いという場合もあります。その日記記入が終わると自主学習、テレビ視聴の時間になるのですが、テレビを見ている子はあまりいません。高卒認定試験や危険物取扱者の資格取得、パソコンの表計算、ワードの試験、それ以外にも担任から個別に与えられた課題を行っています。個人で勉強しなければならないことに目標を置いていますから。もっと勉強したいという場合は、就寝後、最大23時までの延灯学習を認めています」
水府学院に収容されている少年たちは約80名、教育に携わっている教官は32名。この割合だけでもいかに手厚い体制の教育施設であるか想像に難くない。