2024年11月22日(金)

DXの正体

2020年9月30日

ノウハウをサービスとして販売する

 HILLTOPでは、機械を動かすノウハウをサービスとして販売することも検討している。

 「製品をつくること全部を一気通貫して、HILLTOPが、アプリとして提供することを考えています。メンテナンス、プログラミング、プロダクトマネジメントに合わせて、ロジスティック、マシンのメンテナンスまで行います。また、データに紐づいて見積もり、納期回答が瞬時に返ってくるようになります。さらに材料、輸送など他業界にまでつながります。

 世界はどんどん変化しています。試作品を制作して、日本の商社が中国・深圳の企業を紹介するといったことも増えています。『日本は技術力がある』と言われていた時代を知らない世代が出てきているのです。

 私は、明日にでも『削ってなんぼの仕事』がなくなるかもしれないという危機感を持っています。だからこそ、事業をつくっていくことが大事なのです。

 極端に言えば、『明日からパン屋をやる』ということがあってもいいと思います。それが新しい事業をつくることですから。ただし、どうやるかがポイントになります。

 私の場合、一番初めのとっかかりが、好きじゃない業種に来たことです。だから、それを変えたいと思いました。楽しくない、好きじゃない、だからカイゼンされるのです。社員にも常々、『仕事だからガマンしてやる、というのはやめよう』と言っています。

 基本的に避けたい仕事は、他人に押し付けたいというのが人情です。人間楽なほうに逃げてしまう。でも、色々な感情渦巻くのがまた人間で、他人に嫌な仕事を押し付けてしまうと罪悪感が生まれます。だからこそ、皆が幸せになるためにどうするか? これを考え続けることがカイゼンや、イノベーションにつながるのだと思います」

 HILLTOPでは、このコロナ禍においても業績は落ちていないという。その背景の一つに、HILLTOPでは強化部門として、加工部門だけでなく研究開発部門にも注力していることが挙げられる。

 「部品の加工をしていると、他の部品とのアセンブリをしてほしいという依頼が増えてきました。そこで、デザインや構想設計など、プロジェクトをトータルサポートする体制を構築してきました。現在では、ユーザー企業と弊社のラボを使って共同開発を行っています」

 言われたものをつくるだけではなく、早く納品するという「スピード」に付加価値を見出したのに続いて、求めるものをサービスとして提供することでさらなる付加価値を生み出したというわけだ。


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