2023年2月7日(火)

DXの正体

2020年9月30日

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五十嵐弘司 (いがらし・こうじ)

東京工業大学大学院総合理工学研究科修了(工学修士)。1980年、味の素(株)に入社。バイオ精製工程のプロセス開発に従事。1998年からアメリカ味の素(株)アイオワ工場長、技術開発センター長を経て上席副社長。2009年、味の素(株)執行役員経営企画部長。その後、取締役常務執行役員、取締役専務執行役員に就任。中期経営計画の策定、M&A実務実行など、味の素(株)で経営の中枢を担う。また、技術統括・情報統括として、イノベーションの実現、グローバル展開、ICT活用やデジタル化を推進した。現在、公益社団法人企業情報化協会代表理事副会長、一般社団法人日本能率協会開発・技術部門評議員会副議長などとして活動中。企業経営にかかわる多数の講演実績がある

ノウハウをサービスとして販売する

 HILLTOPでは、機械を動かすノウハウをサービスとして販売することも検討している。

 「製品をつくること全部を一気通貫して、HILLTOPが、アプリとして提供することを考えています。メンテナンス、プログラミング、プロダクトマネジメントに合わせて、ロジスティック、マシンのメンテナンスまで行います。また、データに紐づいて見積もり、納期回答が瞬時に返ってくるようになります。さらに材料、輸送など他業界にまでつながります。

 世界はどんどん変化しています。試作品を制作して、日本の商社が中国・深圳の企業を紹介するといったことも増えています。『日本は技術力がある』と言われていた時代を知らない世代が出てきているのです。

 私は、明日にでも『削ってなんぼの仕事』がなくなるかもしれないという危機感を持っています。だからこそ、事業をつくっていくことが大事なのです。

 極端に言えば、『明日からパン屋をやる』ということがあってもいいと思います。それが新しい事業をつくることですから。ただし、どうやるかがポイントになります。

 私の場合、一番初めのとっかかりが、好きじゃない業種に来たことです。だから、それを変えたいと思いました。楽しくない、好きじゃない、だからカイゼンされるのです。社員にも常々、『仕事だからガマンしてやる、というのはやめよう』と言っています。

 基本的に避けたい仕事は、他人に押し付けたいというのが人情です。人間楽なほうに逃げてしまう。でも、色々な感情渦巻くのがまた人間で、他人に嫌な仕事を押し付けてしまうと罪悪感が生まれます。だからこそ、皆が幸せになるためにどうするか? これを考え続けることがカイゼンや、イノベーションにつながるのだと思います」

 HILLTOPでは、このコロナ禍においても業績は落ちていないという。その背景の一つに、HILLTOPでは強化部門として、加工部門だけでなく研究開発部門にも注力していることが挙げられる。

 「部品の加工をしていると、他の部品とのアセンブリをしてほしいという依頼が増えてきました。そこで、デザインや構想設計など、プロジェクトをトータルサポートする体制を構築してきました。現在では、ユーザー企業と弊社のラボを使って共同開発を行っています」

 言われたものをつくるだけではなく、早く納品するという「スピード」に付加価値を見出したのに続いて、求めるものをサービスとして提供することでさらなる付加価値を生み出したというわけだ。

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