2024年11月25日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年8月9日

 オースリンも指摘しているように、中国は世界中の人々から受け入れられるような価値観(自由とか民主主義とか)を持っていません。孔子学院なるものを世界中に広めていますが、共産党幹部が子弟を米国に留学させ、米国に貯金を移しているようでは、示しがつかないでしょう。外交においても、中国は一昔前の「開発途上国の盟主」としての面影はなく、今や彼らを上からの目線で見て、嫌われています。中国は「小切手外交」に頼るしかなく、世界に真の友人を持っていません。

 現在の中国は、乱暴狼藉の孫悟空がお釈迦様に手なずけられるような段階にあります。中国は、アフガニスタン、ネパール、ペルシア湾周辺で外交・経済攻勢に出ていますが、米国も太平洋正面だけでなく、中国の裏庭である中央アジア、アフガニスタンにおけるプレゼンスを着々と強化しつつあります。ロシアまでがリムパック海軍演習に軍艦を参加させるようになりました。孫悟空は、その額に「金剛圏」を巻かれつつあります。

 米中に挟まれた日本にとって、安全保障上の選択肢は、非武装中立、武装中立、日中同盟、等々あるが、やはり日米同盟を基礎において、中国を含めた周辺諸国と協力体制を作り上げていくという、これまでの政策が一番なのでしょう。

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