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2020年11月17日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

感染症対策の試金石

 問題はこうした国民の不満が選挙の結果と相まって大きな騒動に発展しないか、という点だ。トランプ大統領は14日、初めて「彼(バイデン氏)が勝ったが、それは不正な選挙のせいだ」と負けを認める発言をツイッターで行った。しかし「フェイクニュースが彼を勝たせた。私は最後まで戦う」など、敗北を認めない発言も続けている。

 首都ワシントンでは数日前からトランプ支持者らがデモを行い、その規模は14日には数万人に達した。彼らは「選挙は盗まれた」「もう4年トランプで」などのシュプレヒコールを叫びながら行進を行っており、一部で反対勢力との小競り合いも報告されている。

 この熱狂的トランプ支持者が今後どう動くのかはまだわからない。しかし米国では12月8日に各州の選挙代理人の選出が行われ、14日に投票で次期大統領が公式に決定する。それまでにトランプ大統領が潔く敗北を認め、スムーズに民主党政権への移譲が行われる可能性は極めて低いだろう。もちろん感謝祭までに決着がつくことはないと考えられる。

 感謝祭への不満、それに選挙結果に不満を持つ人が合わさって、大きな騒動に発展することは十分に予想できる。また多くのデモ参加者がマスク不着用のことから、これからクリスマスシーズンに向けてさらに感染者拡大となることも恐れられている。

 バイデン氏は早くも独自のコロナ感染対策チームを立ち上げたが、その責任者の1人は「米国は4-6週間程度の封鎖を必要とする」と語っている。国境封鎖、さらに州間での移動の禁止、経済活動の制限などの政策が行われれば、ますます国民の不満は募る。

 国民がある程度政府に耳を傾け、感謝祭が滞りなく終われば良いが、そもそもあまり政府の言うことを信用せず、これまでも強制ではない勧告はことごとく無視されてきた。それだけに感謝祭当日への警戒感は強まっているが、これが今後の米国の感染症対策の試金石となるのか。選挙以来高まっている国内の緊張が爆発するようなことがあれば、米国はとてつもない混乱に陥る可能性もある。

  
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