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2020年11月11日

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(virgin hyperloop)

 ヴァージン・ハイパーループ社が11月8日、ラスベガスの同社の実験サイトで初の有人走行実験に成功した、と発表した。乗車したのは同社CTOで創設者の1人でもあるジョッシュ・ジーゲル氏と顧客応対責任者であるサラ・ルチアン氏。

 ハイパーループとは元々テスラCEOイーロン・マスク氏が発案したもので、真空に近いチューブの中で空気圧によりカプセルを高速で移動させる、という乗り物だ。マスク氏によれば「ロサンゼルスーサンフランシスコ間が1時間以内で移動できる」ということだったが、本人が多忙すぎて実現する時間がないため、技術的な詳細を無償で公開し、「誰かに実現してほしい」と発表した。

 これを受け、現在米国にはヴァージン・ハイパーループ、ハイパーループ・トランスポーテーション・テクノロジーなどいくつかの会社が実現のための準備を進めている。その中でもトップを走るのがヴァージン社で、名前からわかる通り英国のヴァージングループからの出資を受けている。ヴァージン・グループ設立社であるサー・リチャード・ブロンソンは今回のテスト成功を受けて「我々はこのイノベーションがこれから数年かけて人々の暮らし、仕事、旅行の仕方などを変化させていくものになる、ということを証明した」と語った。

(virgin hyperloop)

 ヴァージン・ハイパーループ社はラスベガス郊外に総長500メートルのテストチューブを建設、これまでに無人の走行実験を400回以上繰り返してきた。今回初めての有人走行実験にあたり、新しく開発されたXP-2という車両も公開された。これはBIG社(Bjarke Ingels Group)とKiloデザイン社が製造を担当し、乗車する人の安全と心地よさを第一義に考えられたものだという。

 実際に実用化される場合、XP車両は最大28人乗りの大型のものとなるが、今回は走行実験のために2人乗りが使用された。ハイパーループは時速670マイル(約1000キロ)で、車内の人間にはそれなりの重力がかかる。それをいかに軽減し、圧迫感を感じることなく乗車を楽しめるのかが成功の鍵となる。

(virgin hyperloop)

 この時速での走行が可能になると、ロサンゼルスーサンフランシスコ間(約615キロ)の移動が43分となる。飛行機の場合離着陸などの時間を含めて1時間28分、車だと6時間かかる距離だ。

 ただし同社のテストチューブが500メートルしかないため、現時点での最高速度は387キロ。今後より長いテストチューブを建設して最高速度での走行実験を繰り返す必要がある。しかし今回の有人走行実験は大成功だった、という。

 乗車したジーゲル氏は「大きな夢の実現のための大きな一歩を踏み出した」と語り、ルチアン氏は「ハイパーループは単なるテクノロジーではなく、それが何を可能に出来るか、というところに意義がある。そして初の乗車を行ったことで、それが一つにつながった。これは未来のデザインそのものだ」と喜びを表現した。

 また同社CEOジェイ・ワルダー氏は「これまで何度もハイパーループは安全なのか、という質問を受けた。今回の有人走行実験の成功により、その答えを示せた」と、第三者機関によっても検証された安全性を同社は提供できる、という自信を示した。

 今年10月、同社はウエスト・バージア州にハイパーループ・サーティフィケーション・センター(HCC)を設置することを発表した。それに先立って7月には米運輸省のエレイン・チャオ長官と新規交通テクノロジー委員会(NETT)が米国内でハイパーループを建設する際の規制枠組みを発表しており、HCCでは今後ハイパーループが規制に合致しているかの検証が行われることになる。

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