World Energy Watch

2012年8月22日

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 雇用創出にも疑問符がついている。設備設置などの雇用増はあったもののエネルギー産業などでの雇用減もあり、ドイツ環境省の予測では環境関連ビジネスの輸出が現状のままで伸びない場合には、2014年、2015年、2020年のいずれの断面でも、ネットでの雇用は数万人の減少とされている。中国メーカーが勢いを増している環境関連ビジネスで輸出増を図ることは難しく、雇用は減少する可能性が強い。

十分なエネルギー供給なしでの成長は可能か

 先行する欧米で既に色褪せてしまった再エネによる産業振興を持ち出すのは、勉強不足か。あるいは世間は無知と思ってのことかもしれない。一方、手垢がついたアイデアと言われようと再エネ・環境ビジネスによる経済成長を持ち出さなければ、選択肢で想定されている経済成長を実現できそうにないというのも、その理由だろう。

 しかし、例えば太陽電池の世界市場の大きさは年数兆円規模だ。日本の自動車関連、電機出荷額が、それぞれ年50兆円規模であることからすると、小さい。しかも、昨年は中国・台湾メーカーが74%のシェアを持っていた。再エネ導入による内需の規模は極めて限定されており、エネルギーコストの上昇により失うものを補う大きさではない。

 選択肢では、経済成長を実現しながらエネルギー・電力消費を削減する姿が描かれている。2030年に国内総生産(GDP)は1.1倍から1.24倍になるのに、最終エネルギー消費は19%から22%削減される見込みだ。電力料金は最低でも約30%値上がりする。

(図表-1)名目GDP/一次エネルギー/電力量の成長率
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 今までの経済成長とエネルギー・電力消費の関係は図表‐1が示す通りだ。経済成長とエネルギー消費には密接な関係がある。電力消費にいたっては1990年代には経済成長の約2倍の伸びを見せている。ウォシュレット、食洗機などの普及に加え、暖房をエアコンで行う家庭が増えたためだろう。

 経済成長のためにはエネルギー供給が必要だったが、2030年に向け、エネルギー消費を削減しながら、高い電力料金の下で経済成長を実現することを選択肢は想定している。どうすれば可能になるのだろうか。二つの道筋が考えられる。一つはエネルギー効率の大幅改善だ。もう一つは産業構造の大胆な転換によりエネルギー・電力を使わないで成長する産業を育てることだ。

日本は既に節エネが徹底された社会

 現在の産業構造の大枠を維持したままとすると、大きな節エネが必要になる。エネルギー消費を削減しながら、成長を実現可能だろうか。日本のエネルギー効率は世界一と言われているが、国際エネルギー機関(IEA)のデータでも実証されている。主要国のなかで日本のエネルギー効率はずば抜けている。

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