2022年8月8日(月)

WEDGE REPORT

2021年2月13日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

クリントン氏は司法取引で逃れる

 トランプ氏をめぐっては、これら税に関する問題のほかにも2人の女性からレイプ疑惑で訴えられるなど〝硬軟両様〟の多くの疑惑が指摘されている。

 トランプ氏は繰り返し全面否定、「魔女狩りだ」などと強く反発している。9日、初日の弾劾裁判でも弁護側は「トランプ氏が弾劾に値する罪を犯したというなら逮捕すればいい」と強気の弁論で、即時棄却を求めた。

 トランプ氏の退任直前、大統領として自らに恩赦を与えるのではないかとの憶測がなされた。法律論から許されないとの指摘があり、恩赦を与えれば、罪を犯していたことをみとめることにもなり、トランプ氏もさすがにできなかったようだ。

 ここで思い出すのは、弾劾裁判にかけられた2人目のアメリカ大統領、ビル・クリントン氏だ。氏は1999年、自らの不倫に関して、容疑者の起訴、不起訴を決める連邦大陪審で虚偽の証言をしたなどの罪で弾劾訴追され、無罪の評決を受けた。

 クリントン大統領は在任中、訴追条項の内容を一貫して否認していた。

 しかし、2001年1月に退任した後、不倫疑惑を含む氏の一連の疑惑を捜査していた特別検察官との司法取引で、弁護士資格を5年間返上、罰金2万5000ドルを支払うことに同意した。

 弾劾裁判で無罪となったとはいえ、いったん職を退いて一民間人となってからは、検察による刑事訴追の手が迫っているのを感じ、罪を認める代わりに〝お目こぼし〟してもらったということだろう。

 トランプ氏への捜査について、バイデン大統領は、司法当局にゆだねるとして、〝指揮権発動〟を否定している。

 しかし、クリントン氏の前例を見れば、同様に訴追事実を否認しているトランプ前大統領も、無罪評決後に検察が刑事訴追に動き出す可能性が大いにあるとみるべきだろう。

  
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