2024年11月22日(金)

安保激変

2012年9月20日

 現在の政権ではカート・キャンベル東アジア太平洋担当国務次官補がヒラリー・クリントン国務長官との近しい関係からアジア政策については主導権を握っている。しかし、これらの例を見ても分かるように親日派・知日派と言われる人と政権の中枢の間にはもう一人「政権内の重鎮」が入っている場合が殆どで、その間に入っている人に近い、という理由でこれらの人々は政権内で影響力を発揮している。例外はブッシュ前大統領が大統領選に出馬を決めた直後から外交・安全保障問題のアドバイザーとして陣営に参加していたアーミテージ氏ぐらいだ。

日本に関心がある人を発掘し、関係を築く努力を

 また、実は「親日派・知日派」としては知られていない人が実は日本に関心や親近感を持っており、そういう人たちの方が権力の中枢に近い場合も多い。

 先述のブッシュ前政権を再び例に挙げれば、ディック・チェイニー副大統領の首席補佐官を務めていたスクーター・リビー氏は、弁護士時代に日本との関わりがあった。知日派では決してないが、親日家だった。チェイニー副大統領のスタッフには、日系アメリカ人で、京都大学の卒業生でもあるアド・マチダ氏という人もいたが、担当が国内経済問題であったからだろうか、日本の中で「知日派・親日派」として名前が挙がることは殆どなかった。

 また、初代国防長官を務めたドナルド・ラムズフェルド氏は日米議員交流のさきがけとなった第一回下田会議のメンバーだ。彼の側近中の側近と言われていたスティーブン・カンボーン元情報担当国防次官も、もともとは核政策の専門家だが、1990年代初頭から「東アジアの安全保障の枠組み」や「北東アジアにおけるミサイル防衛の将来像」などといったテーマに関心を持っており、その中で日本が果たす役割を重要視していた。

 こういった人々は、「知日派・親日派」として日本で認識されていることはない人達だが、彼らが政権内で大きな影響力を持っていた可能性は高い。

 これらのことを考えると、日本は「知日派・親日派の政権入り」ばかりに気を取られず、知日派として知られていなくても、日本に関心がある人を発掘し、彼らとの関係を築く努力をするべきだろう。そうすることが遠回りに見えても、知日派・親日派を絶やさない唯一の方法ではないだろうか。


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