8月下旬から9月上旬にかけて行われた民主、共和両党の党大会も終わり、大統領選が本格化した。現在の雰囲気は、共和党党大会が思ったほど盛り上がらずに、あまり支持の拡大につなげられなかったミット・ロムニー氏に比べて、バラク・オバマ大統領の再選を目指す民主党陣営は、党大会を経て確実に勢いがついたという印象だ。
相変らず世論調査をすると接戦である、という結果が出るが、バージニア州、オハイオ州、フロリダ州など、大統領選の行方を左右するといわれている重要州のいくつかでは、党大会を境にオバマ大統領が僅かではあるが、ロムニー氏との差を広げているという世論調査の結果も見られるようになった。
クリントン元大統領の名演説で民主党一歩リード?
実際に両方の党大会をテレビで見た感じでも、明らかに共和党大会よりも民主党大会の方がまとまりがあった。共和党大会でのスピーチの多くが、スピーチをした人自身のPRとオバマ大統領批判に終始したものであったのに対して、民主党大会では、登場した講演者の大部分がオバマ大統領への支持を演説の核に据え、その上で共和党批判を行っていた。
特に圧巻だったのはビル・クリントン元大統領が党大会二日目に行った演説だった。予定されていた倍の時間の50分近く、しかもそのうちの半分がアドリブだったにも拘わらず、オバマ大統領が上げた実績、共和党陣営の論調の批判などを細々としたデータを引用しつつも、一般の有権者にわかりやすくアピール。「クリントンのこれまでの政治人生の中で間違いなくベストの演説の一つ」と、共和党系の政治評論家も認めざるをえない名演説だった。
「親日派・知日派の政権入り」を望む日本だが…
大統領選が本格化すると、必ず日本でささやかれ始めるのが「次期政権にどれくらい親日派・知日派が政権入りできるのか」という議論である。このような議論の底辺には「親日派がたくさん政権入りしそうな候補に次期大統領になってほしい」という気持ちが存在することが多い。
気持ちは理解できる。米政府の中で毎日、日本との関係に時間を費やす部署の数は限られている。各省庁の日本部が最前線で、その上に日本部を含めたアジア諸地域担当部署を統括する地域局(大抵が(東)アジア太平洋局。次官補が統括)がおり、そこから○○次官、副長官、長官・・と上にあがっていく。