2022年7月2日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年10月3日

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 ベトナムにおいても、インターネットの利用者は3100万人に達しており、当局としてはブロガーの影響力を警戒しているようです。南シナ海での中国との対立に関連する政府の弱腰への批判、中国企業による中部高原での大規模ボーキサイト開発の環境問題への批判等、政府への批判がブロガーにより煽られることを怖れているのでしょう。8月11日には、ハノイの裁判所が、反国家宣伝をブログで広めたとして、元軍人のレ・タイン・トゥン氏に禁固5年の判決を言い渡しています。

 こうした言論弾圧を許さないという人権思想は、米国に極めて深く根付いており、それは、米国の美点の一つと言ってよいでしょう。したがって、ベトナムの人権弾圧が問題視されるのは当然のことです。

 ただ、一方で、米国の人権重視は、原理主義的傾向に陥りやすいという欠点を持っています。このことは、長年に渡った、過度のミャンマー制裁の例を見れば明らかです。

 ベトナムのTPP参加に際して、人権問題の改善を求めることは、あって然るべきですが、両者を余りにも強く絡め過ぎて、地域の重要なパートナー国たりうるベトナムをTPPから排除してしまうようなことになれば、それは大きな損失です。米国には、大局に立ったバランス感覚が求められます。日本は、この問題で米国とベトナム双方に働きかけてみるべきですが、日本自身が未だTPP交渉に参加していないというのは大きなハンディとなるでしょう。

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