2022年12月2日(金)

WEDGE REPORT

2021年3月15日

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海野麻美 (うんの・あさみ)

記者、映像ディレクター

東京都出身。2003年慶應義塾大学卒、国際ジャーナリズム専攻。”ニュースの国際流通の規定要因分析”等を手掛ける。卒業後、民放テレビ局入社。報道局社会部記者を経たのち、報道情報番組などでディレクターを務める。福島第一原発作業員を長期取材した、FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『1F作業員~福島第一原発を追った900日』を制作。退社後は、東洋経済オンラインやYahoo!Japan、Forbesなどの他、NHK Worldなど複数の媒体で、執筆、動画制作を行う。取材テーマは、主に国際情勢を中心に、難民・移民政策、テロ対策、民族・宗教問題、エネルギー関連など。現在は東南アジアを拠点に海外でルポ取材を続け、撮影、編集まで手掛ける。取材や旅行で訪れた国はヨーロッパ、中東、アフリカ、南米など約40カ国。

SNSで話題になった3D広告が「蜜」に

首都クアラルンプール中心部の高級ショッピングモールに設置された、春節を祝う巨大3D 広告。コロナ禍で連帯して苦難を乗り越えようというメッセージが込められた(パビリオン公式フェイスブックページより)

 さらに、日本でもツイッターで一時トレンド入りするなど話題になったのは、首都クアラルンプール随一のショッピングモール「パビリオン」前に設置された巨大な3D広告。LEDスクリーンに現れたのは、シルバー色をした勇ましい牛。凛と立ち上がったその牛に、天井から降りてきた2本のスプレー噴射機が金粉を噴射する。

 見事な黄金色に仕上がった牛の前にはだかった透明のガラスに、突如として『TOGETHER FIGHT AGAINST COVID19』という文字が浮かび上がる。それを見た黄金の牛がぶるぶると武者震いのような動きを見せた直後、勢いよくそのガラスへと突進。粉々に割れたガラスと共に牛が宙に舞い消え去る――。

 これは、春節を祝うために満を辞して準備された、マレーシア初の3Dを駆使した巨大アニメーション。「パビリオン」では毎年、それぞれの民族や宗教の祝いに合わせた壮大なデコレーションが披露されるのが風物詩ともなっており、国内外から大勢の観光客が訪れる。

 しかし、コロナ禍にあって、移動制限によりパビリオンまで訪れることのできない人々に向け、コロナ禍の苦難を乗り越え共に立ち向かおう、というメッセージを届けたかったのか、パビリオンの公式Facebookページでは、この3D広告を撮影した動画をアップし、「今年のチャイニーズニューイヤーでは、パビリオンに現れた〝3Dの黄金の牛〟をぜひ見届けよ! Covid19との闘いに向けて健康と繁栄をもたらすよう、この困難を切り開く黄金の牛がエネルギーをチャージできますように。新年あけましておめでとうございます!」と高らかに宣言。

 すると、瞬く間に拡散されて話題となり、次々にパビリオン前にその広告見たさに駆け付けた市民らで、まさに「蜜」ができてしまった。筆者が訪れた時には、沢山の警察官やパトカーが物々しく警備に当たり、広告の牛が動き飛び出す瞬間をスマートフォンを手に待ち構えるマスク姿の人々に、この場を離れるようにと必死に注意を促していた。あまりの混雑ぶりに一時的に広告のディスプレイは中止となり、集まった市民らはがっかりした様子で帰路についていたが、注意を呼びかけるマレー系の警察官も、祝いムードに水を差すようで申し訳ないという表情で警備に当たっていたのが印象的だった。

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