ひっそりとしたチャイナタウン 半額セールも
だが、コロナ禍で最も激変してしまったマレーシアにおける春節のシーンは、なんといっても「チャイナタウン」だろう。春節の幕開け当日、クアラルンプール中心部のチャイナタウンに向かうと、例年は車も動かないほどに周囲は混雑するのだが、道路もガラガラ。チャイナタウンの入り口に位置する店舗は閉業したようで「売り出し中」の張り紙が寂しげにひらひらと舞っている。
威勢の良い客引きの声が名物だった屋台もほぼ姿を消し、メインである通りも閑散として買い出しや食べ歩きに訪れる地元の人々や観光客の姿もほぼない。春節の飾り付けのグッズを所狭しと店内に並べて販売する名物店にも客の姿は一人もなく、店主が一人寂しげに棚に溜まった埃の掃除をしていた。ほぼ全ての品物に大胆にも「50%OFF」の張り紙が貼られており、少しでも在庫を減らすことに躍起なようだ。
「例年はこの時期には多くの人が訪れて、大量に買い出しをするのが常なのですが……1年に一度のかきいれどきなのです。今年は親族が集まって祝ったり、友人たちを招いてのオープンハウスを催すこともできないことから、大ぶりの飾り物の売れ行きは悪く、家庭用の小さなグッズのみが売れていった傾向です。私も今年はどこへも出掛けず家で静かに祝うのみでしたよ…こんな春節は初めてです。仕方ないですね」とため息をついた。
コロナは多民族国家の風景もがらりと変えてしまった。果たして来年の春節は、パワフルな東南アジアの華人たちの姿が戻るのか-今は誰にもまだ予測は出来ない。
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