2024年5月2日(木)

Wedge REPORT

2021年3月15日

元来からビビらない性格

 ちなみに原監督はこの日の阪神戦開始前にTBSの情報番組「サンデーモーニング」にリモートでゲスト出演し、阪神・佐藤について言及するシーンもあった。昨年のドラフトで1位指名しながらも競合の末に抽選で外した背景があるだけに「ほしかったですねえ」と本音をのぞかせながらも「ただ阪神タイガースに大物が久しぶりに入ったという点では、我々も負けじと彼を抑えにいくというところで、巨人、阪神のファンは非常に盛り上がると思います」と最後は強弁で締めていた。しかしながら、その後の試合で評判通りの実力を見せつけられ、内心で地団駄を踏みつつ一層の警戒感を抱いたのは言うまでもあるまい。

 阪神は巨人に9年連続でシーズン負け越しを喫しており、近年は「伝統の一戦」が有名無実化している。だが、この日、巨人相手に本塁打を含め2安打をマークし、持ち前の強心臓とともに存在感を見せた佐藤のプレーはルーキーでありながら「打倒・巨人」へのヒントをチームに示したところも多分にあっただろう。

 巨人との戦いを過剰に意識し過ぎるが余り、ここ9シーズンのタイガースはジャイアンツに飲み込まれるようにホームの甲子園でも〝ヨソ行きの試合〟を繰り返す傾向が見受けられた。その点を踏まえてみると、この日、佐藤が結果を出して露にした「矜持」の必要性は阪神の面々にも響き渡ったはずである。

 前出のOBは「佐藤は対巨人の免疫がなく、元来からビビらない性格もあって、ジャイアンツ相手にまったく臆するところもなかった。あの新人離れした威風堂々としたプレースタイルはチーム全体に、いい流れも呼び起こしている。高山(俊外野手)や陽川(尚将内野手)が好調モードを意地しているのも、新人・佐藤の暴れっぷりに触発され、相乗効果を生み出しているからに他ならない。こういうガツガツとした雰囲気がチーム内に波及してくることは全体の活性化、さらに個々の意識が高まることにもつながり、ひいては『打倒・巨人』にもつながるはずです」とも解説している。〝佐藤効果〟もチーム全体にかなり有益に働いているようだ。


新着記事

»もっと見る