WEDGE REPORT

2021年2月22日

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(AP/AFLO)

 周りが見えている人はたくましく、そして強い。大坂なおみの全豪オープン優勝はそれを改めて再認識させられた。20日にメルボルンで行われた同大会シングルス決勝でジェニファー・ブレイディ(米国)を6―4、6―3で下し、2年ぶり2度目の頂点に返り咲いた。

 テニスの四大大会制覇は2018年と2020年の全米オープンを合わせ、これで4年連続4度目。セリーナ・ウイリアムズ、ビーナス・ウィリアムズに次ぐ四大大会優勝回数を誇り、まだ23歳であることを鑑みればビーナスの7回、そしてセリーナの23回もいずれ抜き去る流れは期待できる。姉ビーナスが40歳、妹セリーナも39歳とウイリアムズ姉妹がキャリア晩年となっている中、女子テニス界は間違いなく大坂を中心に動いていくことになるだろう。

 同大会準決勝では、その「史上最強」と称されるセリーナにも完勝。4大大会では2018年全米決勝以来となる対戦で再び圧勝し、最後は全豪制覇へと結びつけたことも大きい。世界に「大坂時代」の到来を印象付けた。

 それでも全豪女王となった直後の記者会見で大坂が勝利のシャンパンでのどを潤した後、冷静に言葉を選んだシーンはとても印象的だった。海外メディアから「あなたの実力ならば今後、四大大会で10度の制覇も可能なのではないか?」との質問が向けられても、

 「まずは5度目の優勝を成し遂げることが先決。そこに向かって全力を尽くすべきだと思っている。その後の目標については『5度目』が達成できてから考えたい」

 と慎重な発言に終始した。そこには、かつてスポットライトを浴び始めた頃、試合中のコートでイライラを募らせてみせたり、会見中に不機嫌そうな振る舞いや感情を乱して涙を流したりしたような姿とは一切ダブることがなかった。

相手に対するリスペクト

 試合後のセレモニーも素晴らしかった。決勝の相手ブレイディの健闘を称える前に「あなたのことをジェニーと呼べばいいのでしょうか? それともジェニファー?」と本人に尋ねた。相手に対するリスペクトを感じさせる所作は人間としても「一流」の品格が備わっていると思わずにはいられなかった。

 ちなみにその後、大坂はブレイディが「ジェニー」と答えたにもかかわらずセレモニー中「ジェニファー」の呼称でコメントし続けたことでSNS上などを中心に「アンチ」の間では物議を醸している。

 しかし、これは単に大坂の「聞き間違い」もしくは「勘違い」だったようだ。米「ニューヨークポスト」など世界の主要メディアもほぼ共通して大坂に悪意はないととらえており、まったく問題視していない。

 逆にこの程度の勘違いでさえも、大坂の揚げ足を取ろうとする「アンチ」が世界の中に存在することに驚かされた。まあ裏を返せば、それだけ彼女が超一流の世界的なスーパースターになったことの証でもあるだろう。そしてそういう観点においても、やはり大坂の一挙一動に対する注目度と彼女の持つ発信力の大きさは今や世界のあらゆる有名人の中でもトップレベルの域に入っていることがうかがい知れる。

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