家電口論

2021年4月3日

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多賀一晃 (たが・かずあき)

生活家電.com主宰

スマート家電グランプリ審査員。主催する『生活家電.com』を通じ、家電の新製品情報、使いこなし情報他を発信中。過去、某メーカーでAVメディアの商品企画を担当、オーディオ、光ディスクにも精通。また米・食味鑑定士の資格を有する。水、米、パン、珈琲、お茶の味に厳しい。

なぜ、アイリスオーヤマは「コロナ」関連をビジネスにできるのか?

 昨年、コロナ禍でいろいろなモノが売れました。多くのところで、アイリスオーヤマの名前が上がったことは、冒頭に述べた通りです。なぜそんなことが可能なのでしょうか?

 一般に言われるのは、社長の判断が早いことです。ありますね。他の会社が1カ月かけて判断するのを、1日で判断する感じです。他社からみると、すごい即断即決です。ビジネス的には理想とされるますが、もう一つの理由はハズレが少ないことだと思います。今回のロボット掃除機もそうです。

 「アイリスオーヤマ がNo.1」。判断が速ければそうなるのでしょうか?

災害はいつ来るのか、わからない

 実はアイリスオーヤマは、ここ1年災害対策品もいろいろ立ち上げています。電力不足でも使える「LED電球」は元から販売していましたが、「自治体と災害時の物資供給の契約」「災害救急セット」の販売、「パックごはん」「缶詰」の生産と販売、そして「ミネラルウォーター」のボトリングと販売……。また、「不織布マスク」は災害時にも役に立ちます。

 これはアイリスオーヤマの本社が仙台の近くにあり東日本大震災で被災したこと、復興には積極的に手を貸した経験などが練りこまれています。それはどんな経験かというと、「すぐ」対応しなければならないということです。

 それは社長が「判断」だけでなく、「判断できるようにする」のもそうです。非接触型温度計を発売が、コロナ流行後、あまりにも時間が短かったので、どうして可能だったのか聞いてみました。「答えはやはり「社長の判断」でした。ただ、この時は事前準備も周到にされており、超短期間で対応できたそうです。

 今回のロボット掃除機もそうですが、売るには買いたいと思わせる「核となる情報」が必要です。それが今回のCDC資料のように、強い効果を出すと売れます。

 そして、情報をうまく使える人は、往々にして人の使い方もうまいものです。すべきは、同じ方向を向く(すべきことをしっかり認識している)ことと、動ける環境を整えてやることです。そしていつでもコミュニケーションが取れるようにしてやる。それをいかに短期に整え、現場がフルパワーで動けるようにしてやる。これが下手な人が上にいると、下はすごく苦労します。少なくとも短納期は実現できません。

 大地震という大天災を経験したアイリスオーヤマは、判断を早くするために何をしなければならないのかを骨身に染みて理解している人が多いのではと思います。

アイリスオーヤマが苦手とする製品

 このようにアイリスオーヤマは、明確な方向性、即断即決で機会を逃さない、買いやすい価格で製品を作っており、どんな製品でも強そうですが、弱点はないのでしょうか?

 あるとすると高額商品だと思います。商品提案は価格が社長に認められてから、と言われるアイリスオーヤマですが、その理由の一つは、ホームセンターを重視しているからでしょう。ホームセンターでは、ほとんど高額商品は扱われません。このためでしょうか? テレビなど、それなりの価格が避けられない商品は、テスト販売で確認しながら、商品化しています。

 確かに、高額商品が持つ華麗な華は、アイリスオーヤマにはありません。逆に、野に咲く名も知らない花のような強さがあります。コロナ禍に対抗するに最もふさわしい、強く、たくましいブランドなのかもしれません。

  
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