新たな研修の形 「もしツア」
研修は人事部と社長室が担当し、基礎を学び応用力を身につけさせることを狙いにしている。基礎となるのは、分析力、文章力、創造力、コミュニケーション力、信頼関係の創造力。この力をベースにそれぞれの専門性を磨き、部門ごとに階級を設けている。最高クラスは役員会議で承認を経て決定され、役員待遇が与えられる。
とくに重視しているのが文章とコミュニケーションの2つ。会話力を鍛えるのは、社会人として当然のことだが、意外にも疎かにされている分野でもある。とくにラクーンの業務ではメール作成の構成比が高く、きちんとした文章で自分の意志を伝えられるかどうかは業務遂行を大きく左右する。つまり、シンプルで明瞭な文章を常に書けなければいけない。
大手新聞社のOBを招いて、800字の文章を全社員に書かせ添削する研修も実施したという。一定基準で合格させる研修だが、大半の社員は不合格が続く。小方社長も4回不合格だったという。この流れを受け継いだのが「創造力鍛錬コンテスト」で年に2回実施している。テーマは会社への提案。社員名を隠して部門、役員の審査を経て残った提案文章から社員投票で優秀なものを選ぶ。さらに任意で会社への提言を役員あてに出すことも実施している。しかも役員自ら提案者にすべて回答するそうだ。毎回、5人~15人の社員が提出してくるという。
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研修というよりは、自己研さんと会社と社員の考え方の共有化を図る取り組みにもみえる。しかし、確実に文章力が向上してきているのがわかるという。「どんな小説よりも社員の提案を読むのが楽しい」と小方社長は語る。
今年導入したのが、イベント性も取り入れた「もしもツアーズ」。全社員がくじ引きで4人編成のチームに分かれ、一人1万円の予算で5月から7月までの期間に旅行を企画し実行する。一度も会話したことがない社員同士がチームになるケースも多く、年齢も性別も関係なく、くじ引き次第で決まるチーム編成。