2024年11月22日(金)

人事部必見! 御社の研修ここが足りない

2012年10月10日

 メーカーと小売店をつなぐ問屋の機能は、情報・決済・物流の3つだ。これは100年前の問屋と何も変わらない。ツールとしてネットを利用することで、利便性を高め、進化させてきた。昔と違うのはスピードが増した分、顔が見えにくくなっている。そこで信用を培うことは難しい展開であるはずだ。「儲かれば何でも手を出すという発想は創業時からもっていません」という。着実に積み上げて事業を拡大していくのがラクーンのスタイルなのだろう。

 もうひとつ。問屋にとって必要なのは倉庫と社員。ネットである以上、倉庫は不要であり、残るのは社員だけ。社員が育たなければ、会社の発展もないのは誰の目から見てもわかるはず。ラクーンには、明確な人材育成ポリシーをもち、上からの圧力を感じさせない社員研修がある。

“地頭”の良い人がほしい

 社員採用は学歴不問。現在の知識量ではなく“地頭”の良い人を採用する方針としている。もちろん業務に対応できる学力は見極める。これは外部委託のテストだが、文章能力、計算能力、理論能力をみて参考にする。その上で向上心と好奇心がある人を採用する。

 向上心のある人は伸びる、好奇心のある人は困難にくじけない力があるからだ。逆に絶対に採用しない人物は不誠実な人。「性根の曲がっている人はダメ。世の中をすべて裏側からしか見ない人は、どんなに教育しても無理だから」という。現在、社員の4分の1は高卒が占めているそうだ。その中に役員待遇の専門家もいる。

 入社後の体系化した研修としては、半年間の新人研修がある。内容は、日頃の業務の進め方やマナー、プライオリティ管理など「これはどうしたらよいのか」という場面での疑問の解消、情報共有などを目的にしている。研修実施の年にもよるが合宿研修も実施している。

 各部門のチームリーダーに対して実施する研修では、ディスカッションベースでリーダー同士の情報共有と、各リーダーが今後どのような行動が必要かについて学ぶ。前回は、ワールド・カフェの手法で実施した。これは、人々がオープンに会話を行い、自由にネットワークを築くことのできるカフェのような空間で知識や知恵が生まれる、との考え方に基づいた話し合い手法のこと。

 全社員を対象にした勉強会(研修)として実施しているのが「ビジネスモデル研究会」で参加は任意。ただし、部門長用は全社員対象とは別に必須の研修として開催している。内容は、ビジネスモデルを作る上でのセンスを磨くことで、提案について適切な評価やアドバイスができるよう価値観を共有していく、プレゼン能力や会話術の向上を兼ねた勉強会。社員が提案する内容は、自社のコアコンピタンスをうまく生かしたビジネスモデル、と想定し実施している。


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