死亡の原因がすべてワクチンだったという確証はない
一方ワクチン接種を済ませた人では、4月30日の時点で1億100万人が2回の接種を終え、うち接種後にコロナに感染した人は1万262人だった。うち1割が重症で入院し、死亡したのは全体の2%だった。つまり1億人以上の接種者の中で死亡したのは200人程度、ということになる。
ただしワクチンの副作用による死亡者については、現在米国で大きな議論となっている。ロン・ジョンソン上院議員(ウィスコンシン州選出、共和党)がVaccine Adverse Event Reporting System (VAERS)というワクチンの副作用を追跡するシステムのデータを元に、「ワクチンによる死者は3000人を超えており、真っ当な数字とは思えない」とワクチンを強く批判したのだ。
これに対しCDCは、VAERSは誰でも副作用や死亡ケースを報告できるサイトであり、死亡の原因がすべてワクチンだったという確証はない、と反論。ジョンソン&ジョンソン社のワクチンと一部の血栓症についての因果関係は認められる、としながらも、ワクチン接種後に起きた死亡例には様々な原因があり、3000人以上という数字は正しくない、としている。
また、仮にVAERSの数字(5月10日時点での死者数は4434人)が正しかったとしても、死亡率を算定すると全ワクチン接種者の0.0017%であり、コロナ感染による死亡率(米では1.8%)と比較すると遥かに低い、とワシントン・ポスト紙は伝えている。
ワクチン接種は個人の自由ではあるが、米ではワクチン接種カードがないと職場復帰を認めない、などの動きも広がっている。今後は児童が学校に復帰する際にワクチン接種証明を求められるケースも考えられるのだが、若年層の特異な副作用については今後の検証が必要となるだろう。
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