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2021年5月13日

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(JJ Gouin/gettyimages)

 米バイデン大統領は7月4日の独立記念日までに米国人の成人7割のコロナワクチン接種完了、という目的を掲げた。国の独立にコロナ禍からの独立を合わせよう、という意図だ。

 米国のワクチン接種は、5月11日時点で少なくとも1回の接種を終えた人が1億5340万人、うちジョンソン&ジョンソンの1回接種を含めた2回接種完了者は1億1166万人で、成人人口の58%となった。現在ではワクチン接種対象を15歳以下に広げ、一部幼児への接種も治験レベルで進んでいる。

 このまま順調に行けば7月までに国民の7割、という目標は達成できそうなのだが、このところ接種のスピードが落ちていることが問題になっている。4月上旬には一日の接種回数が300万回を超え、最高で340万回だったが、そこから下がり続け4月末には週平均で1日260万回程度となった。

 理由についてCDC(米疾病管理予防センター)では「まずワクチンが必要な医療従事者や高齢者、そしてワクチン接種を強く希望する人々、中でもワクチン接種へのアクセスが容易な人に広がったため。今後は地理的な理由で接種を受けにくい環境にいる人、接種に積極的ではない人々にいかに接種を広めるかが鍵となる」と語る。

 特にスローダウンが目立つウエスト・バージニア州では、連邦政府に対し「州に輸送するワクチン量を減らすよう」要請した、という。理由は供給が需要を上回り、このままではワクチンが無駄になってしまうためだという。同州では4月上旬以降4週連続で接種回数が減少している。

 今年の初め、本格的にワクチン接種が始まった頃は米国も今の日本のような状況だった。人々は情報を求め、医療従事者、高齢者、高齢者施設従業員、などの優先順位が設定されていたにもかかわらず、キャンセル待ちでワクチン接種を希望する人の行列が出来たりしていた。そこから考えると、わずか数カ月で状況が大きく変化した、と言える。

 そこには医療施設だけではなく大手小売チェーンでも予約無しで接種が出来る、などワクチンの民主化を推進した各州政府の努力がある。しかしワクチン接種が身近なものになりすぎたが故に、人々に安心感が生まれてしまった感もある。

 ワクチン接種を拒否する人々は、非常に辺鄙な場所に住んでいて物理的に接種が難しい、という場合を除くと、やはりワクチンに対する懐疑意識が根強いためだ。元々普通のインフルエンザワクチンなどにも拒絶反応を示す人々がいるが、コロナワクチンの場合様々な副反応が報道され、米国では一時ジョンソン&ジョンソン製のワクチンが「特に女性に血栓が出来る可能性」が指摘され接種が停止となった。またワクチン接種後にコロナに罹患した、という例も複数報告されている。

 若年層への接種では、治験対象として接種を受けた2歳児が死亡したことが報告されており、まだワクチンと死亡との因果関係ははっきりしない、と言われているが、子供を持つ親の間には不安が広がっている。

 また、すでに接種した知人に重度の副反応が出たため接種を躊躇する、という人もいる。こうした不安にこたえるため、CDCでは新たに「わかりやすい言葉でワクチンの有用性を解説する」ウェブページも公開した。バイデン政権も「CDCのガイドラインに従い、なるべく早い時期にワクチン接種を」と呼びかけている。

 各自治体政府のワクチン推奨の動きも活発化している。ニューヨーク市では接種者にヤンキースタジアムへの招待券を配る、という試みが話題になったが、ロサンゼルス市でもドジャース球場にワクチン接種者の専用座席を設け、マスク着用は必要だが社会的距離を取らずに観戦出来る。その他接種者に毎日ドーナツ1個が無料になる券を配る、お買い物券を配る、といった試みもある。

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