2022年7月2日(土)

Wedge REPORT

2021年6月21日

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4団体統一にはまだいくつかのハードル

 しかし、事はそう簡単ではないようだ。カシメロは当初、同じ8月14日にWBA世界バンタム級正規王者ギジェルモ・リゴンドー(キューバ)との統一戦が予定され、米スポーツ専門局「FOX SPORTS」などで試合中継を放送する米大手興行「プレミア・ボクシング・チャンピオンズ(PBC)」から発表済みだった。

 ところが先月末にWBC王座に返り咲いたドネア陣営に対し、リコンドーとマネジメント契約を結ぶPBCのアル・ヘイモン氏はカシメロとの「8・14」の対戦を〝譲渡〟することでWBCとWBOの統一戦を速やかに実現させるプランを水面下で提案。さらにドネアVSカシメロの勝者とリコンドーを対戦させるWBA・WBC・WBO統一戦の実現も求め、ドネアをプロモートするリングスター・スポーツ、そしてカシメロの所属するMPプロモーションズから合意を得たという。

 ドネアVSカシメロは当然ながら「8・14」に米カリフォルニア州カールソンで開催予定のPBCのリングで組まれることになっている。この試合の勝者とリコンドーとの統一戦もPBCのリングで行われるのは必然だけに、PBCとしては「2度の旨味」を得られるという算段だ。

 そのとばっちりをモロに受けそうなのが、井上である。ドネアとカシメロの対戦が急転直下で実現したことは歓迎したい半面、その勝者とリコンドーの試合が次に予定されているとなれば「待たされる」ことになる。そもそもWBAバンタム級のスーパー王者であるはずの井上にとって、同じWBAの同級で格下扱いの正規王者リコンドーとの対戦はメリットがない上に4団体統一戦の枠組みに入ってくることも受け入れ難いはずだ。

 しかも井上が契約を結ぶトップランク社とPBCは決して昵懇の関係ではない。ボクシング中継を放送する米スポーツ専門局もそれぞれ「ESPN」と「FOX」でライバル関係にあることから、何かとしがらみも多い。PBCに属するリコンドーか、もしくは所属のMPプロモーションが〝実質PBC傘下〟ともっぱらのカシメロが三つ巴の統一戦で勝ち上がっていくことになったら、トップランク社および井上陣営にとっては面倒な交渉や調整を強いられることになるかもしれない。

 それならば「私たちは常にニュートラルな立場」と自負しているリングスター・スポーツのリチャード・シェイファー氏がプロモートするドネアに、やはりスンナリと連勝してもらいたいところだろう。

 とはいえ、井上には近い将来のスーパーバンタム級転向説も浮上している。ドネアVSカシメロの勝者対リコンドー戦が実現することで本当に「待たされる」のであれば痺れを切らし、バンタムに見切りをつけて2階級制覇への新たな道のりへ踏み出すことも考えられなくはない。

 果たしてMONSTERの「ネクスト」は誰になるのか。無敵の強さを誇りながらも、4団体統一にはまだいくつかのハードルを乗り越えなければならないようだ。

  
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