2024年11月22日(金)

渡辺将人の「アメリカを読む」

2012年11月5日

 第6に「古きフロリダ・ブロック」。「ゴールデンガードル」の南北で、オーランドとタンパを結ぶ州間道路4号線の南北30マイルである。都市開発されていない「オールド・フロリダ」と州の政治関係者が呼ぶ地域で、農業が中心で人口密度が低い。北部にはオレンジなど柑橘類の栽培、馬が走り回る田園地帯が広がる。南部にも、オレンジなど柑橘類栽培のほか、牛放牧など酪農、サトウキビのプランテーションのなごりがある。宗教保守寄りの一定の勢力が存在している。

 第7に「タンパ内部ブロック」。2012年にロムニー陣営が党大会に選んだエリアだ。タンパはキューバ系の集住地だが、反カストロの反共キューバ系と毛色の違う1890年代にキューバがスペイン統治下だった時代に移り住んだ、通称「タバコ栽培のキューバ系」が多く存在する。こうした旧世代のキューバ系住民は、家系内でも長い間分断の辛酸を舐めている。タンパ内のヨボアシティにはこうした、「反共リパブリカン」とは無縁の旧世代の伝統をくむキューバ系ヒスパニックがいる。ここでは通り一遍の「反共保守」の理念はキューバ系票獲得に奏功しない。2008年の共和党予備選でも、移民としての辛酸を家系内の伝承で語り継いでいるヒスパニック系は、移民政策に寛大さをアピールしてきたマケインに流れた過去がある。

 フロリダの約64万人のユダヤ系の55万人がパームビーチ、マイアミデード、ブロワード郡の「ゴールドコースト・ブロック」に居住している。しかし、彼らの大半はリベラル系である。ロムニー陣営は同エリアの有権者を民主党から一部引きはがすと同時に、他の6エリアに分散している残り9万人を確実に抑える努力が求められるし、他方でオバマ陣営は「ゴールドコースト・ブロック」エリアの投票率を極限まで高める動員活動を強め、ロムニーのフロリダ州勝利を阻止するキャンペーンに全力をあげている。

 
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