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2021年7月16日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

「環境アクティビスト」が登場

 この数年、注目されているのが気候変動に関する企業の取り組みで、こうした面からの主張を突き付けてくるアクティビストに出てきている。三菱UFJフィナンシャル・グループの今年の株主総会では、環境問題に絞った提案をするNGO団体の「環境アクティビスト」が登場してきた。この団体は三菱UFJに対して、2020年以降の地球温暖化対策の国際的な枠組みを定めた「パリ協定」の目的に沿った投融資の指標や目標を含む経営戦略を策定し開示するよう、定款を求める株主提案をしてきた。

 この議案は反対多数で否決されたが、賛成票は23%を集めた。三菱UFJ側は、この総会前の4月の段階で、日本のメガ銀行では初めてとなる「カーボンニュートラル宣言」を行い、「脱炭素化」に向けての方針を明らかにしていた。にもかかわらず、このNGOは三菱UFJに対し株主提案を継続した。会社側は今回の提案を踏まえて「カーボンニュートラル宣言」で発表した方針を進めていくとしているが、これだけの票を集めたことで、今後の環境面での対応が促進されることになりそうだ。日本企業は石炭火力発電などの問題では、欧州などと比べて対応が遅れている面があるだけに、今後は「環境アクティビスト」の動向も注視する必要がある。

 このほか、昨年までの不動産価格の上昇から、不動産を多く所有している上場会社に対するアクティビストの要求も増えている。具体的には含み益のある不動産を売却して株主にその利益を還元せよというものだ。

 「物言う株主」からの株主提案は年々増えており、企業コンサルティングのアイ・アールジャパンによると、20年は26件で、16年に比べ4倍以上も増えており、20年6月の株主総会では、300社以上の議案が2割以上の反対を受けたとしている。

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