2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年11月27日

 北朝鮮が核実験を自制していることは、北朝鮮が米、日、韓との関係改善を望み、その代償として、核・ミサイル開発の抑制に応ずる用意があることを示唆している。ミサイル発射の問題性を過小評価すべきではないが、米、日、韓の3国は、金正恩の真意を探る必要がある。

 対話の再開は米、韓の大統領選挙後となろうが、対話の目的は、先ず北朝鮮に核・ミサイル開発凍結の約束を守らせることである。非核化が凍結から完全撤去に進む為には、北に保証を与えることが不可欠である。和平プロセスや外交・経済関係正常化に向けて、広範囲の相互的措置を執っていく必要がある。

 現在、北朝鮮は、ウラン濃縮を続け、プルトニウム生産も再開の構えであり、新たな軽水炉の建設も進めている。軍事パレードに登場した2種類の長距離ミサイルの発射実験もあり得る。北朝鮮が少数の核装置をコンテナー船で運べる段階と、多数の核装置をミサイルで発射できる段階では大違いである。交渉の再開が不可欠である、と述べています。

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 シーガルは、1998年出版の著作Disarming Strangers: Nuclear Diplomacy with North Koreaで、北朝鮮の核問題解決の手段は交渉しか無いと論じて以来、一貫して交渉の必要性を説いていますが、事実認識については、北朝鮮寄りの色彩が強いので、割り引いて読む必要があります。

 中国が北朝鮮の存続を望んでいる限り、武力行使や制裁により北の非核化を実現することは困難ですので、北朝鮮が内部崩壊でもしない限り、交渉による解決を図る他ないことはその通りかもしれません。

 問題は、これまで北朝鮮が、交渉に応じる姿勢を示して国際社会から代償を受ける一方で、着実に核・ミサイル開発を進め、国際社会を欺いて来たことにあります。交渉再開に踏み切るとしても、北朝鮮が核・ミサイル開発の凍結を確約することが最低の前提条件です。また、金正恩政権の安定性を見極める必要もあります。日、米、韓が結束を固め、中国の協力を取り付けることが出来るのであれば、交渉再開の意味はあります。金正恩政権の存続の為には、経済改革は不可欠であり、日、米、韓との関係改善が必要であることは事実でしょう。交渉再開に踏み切る場合、日本としては、核・ミサイル問題、拉致問題の包括的解決を目指すべきです。

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