オトナの教養 週末の一冊

2012年12月21日

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東嶋和子 (とうじま・わこ)

科学ジャーナリスト・筑波大学非常勤講師

元読売新聞科学部記者。フリーランスで環境・エネルギー、医療、生命科学、科学技術分野を中心に、科学と社会のかかわりを取材。主著に『名医が答える「55歳からの健康力」』(文藝春秋)、『人体再生に挑む』(講談社)など。新著に『水も過ぎれば毒になる 新・養生訓』(文春文庫)

 ダサいと思われようと、いじめられようと、好きだから歌うというglee部(合唱部)の高校生たちのように、本書の高校生たちも、好きだから研究にのめりこむ。やがて、のたうちまわるなかで、「科学っておもしろい」「科学者ってかっこいい」と気づくのだ。

 好きなことにまっしぐらに突き進む少年少女と、その一途さを“矯める”ことなく、全力で応援する大人たちの信頼関係が、実にいい。

「理系の子」「文系の子」
敷居を設ける日本の高等教育

 インテルISEFには、日本からも毎年高校生が出場しているが、本書の取材対象となった2009年のイベントには、豚インフルエンザによる渡航自粛で参加しなかった。そのため、直近の大会に参加して受賞した千葉県立千葉高校二年の田中里桜さんが、特別寄稿「サイエンス・フェアが教えてくれたこと」を寄せている。

 研究にとどまらず、サイエンス・フェアは、ひとりの人間として大きく成長する糧になったことが、里桜さんのしっかりとした文章から読みとれる。

 うれしいことに、千葉高校はわが母校である。とはいえ、私はこの母校で数学の成績がふるわなかったために、文系へ進学した。小中学時代は、本書の生徒たちや里桜さんのように理科の授業も自由研究も大好きな「理系の子」で、校外活動の「科学教室」にもわくわくして通っていたというのに。

 皮肉にも、本書の日本語タイトルが象徴しているが、「理系の子」「文系の子」と敷居を設ける日本の高等教育のありかたにも、再考の余地があるのではないか。本書の生徒たちの「その後」を読んで、あらためてそう感じた。

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