故郷のメディアはいま

2012年12月20日

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 県域をカバーするマスメディアで最も歴史的に古いのは、言うまでもなく秋田魁新報社が発行する『秋田魁新報』だ。前身は1873年(明治6年)3月に文部省から発行許可が下りた『羽後新聞』で(太平洋戦争敗戦後廃止された新聞法などにより、新聞各紙は国家管理下にあった)、来年の2013年に140年を迎える。同年10月に遠近を意味する『遐邇(かじ)新聞』と改め、翌年2月に週刊として創刊された。主筆に木堂犬養毅を迎えるなどした後、1889年に『秋田魁新報』の改題し、今日に至っている。発行部数は25万2000部(2010年)で、売上高は95億円に達する(同年12月期)。

 同社は1953年11月に開局した日本テレビ系ABS秋田放送の筆頭株主(資本金2億3000万円の10%を出資)であるだけではなく、1969年10月開局のフジテレビ系秋田テレビの第4位の株主でもある(筆頭株主はフジ・メディア・ホールディングスで24.4%)。さらにはエフエム秋田にも出資しており、秋田県を代表する報道・言論機関として、県内における文化・スポーツなどのイベントに主催者として名を連ねるケースが多い。主催者である以上、イベントの告知・宣伝は言うに及ばず、イベント開催後はそれをニュースとして伝える。

 だが、昨年9月の講演会はABS秋田放送が橋本の講演を含めて伝えたのに対し、秋田魁新報は前述したように橋本には1行も触れなかったのである。

“橋本効果”で読売新聞が部数を伸ばすが…

 橋本と同じく秋田出身の東京キー局OBは、その背景と事情について、「じつは“橋本効果”で、読売新聞が秋田県内で若干ですが部数を伸ばしているんです。橋本さんがイベントや講演をすると、駅の売店やコンビニで読売新聞が売れたりするわけです。当然魁は面白くない。そんな全国紙と県紙の争いに加えて、県内テレビのキー局との関係が微妙なところもあります。県内にはTBS系の局がないのですが、秋田放送がスポーツを中心にTBS系の番組を流しています。同局は、テレビ東京系や独立U局のMXTVの番組も編成しており、日テレとしてはそれがまた癪に障るわけです」と解説した。

 う~ん、「敵の敵は味方」という考え方は商売としては当たり前と言える。また、キー局の系列下にあっても収益がすべてで、他系列の人気番組を放送するのも厭わない姿勢は、ある意味視聴者目線に立っているとも言えなくもない。「おらが県の橋本五郎人気」は、秋田県内の新聞・放送メディアに思わぬ波紋を投げかけている。


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