月刊WEDGE1月号の特集「シェール革命 アメリカの復権」の取材で、アメリカに行った。筆者がアメリカを訪れたのは10年ぶり。そのときに比べ、「日本」の存在感が海外で弱まっていることを身をもって経験する場面に多く出くわした。
成田空港から到着したシアトル・タコマ空港で乗り継ぎ便を待つ間、同僚と日本人2人で並んでサンドイッチを買おうとしたときのことだ。レジを打つ東南アジア系のアメリカ人に声をかけられた。
「Are you Chinese?」
いきなり「ナニ人」か聞いてくることを少々無礼ではないかと思いつつも「No」と答えた。世界第2位の経済大国になって存在感を増す中国は、アメリカのテレビや新聞でもよく取り上げられる。日本人である自分にとって、着ている服など見た目は中国人と全く違うと思っているのだが、アメリカ人にとっては日本人も中国人も同じ「アジア人」に過ぎないのだろう。
すぐに「Japanese」と答えればいいのだが、アメリカ人にとって「アジア」として思いつく国を確かめるのにいい機会だと思い「another Asian(もう1つ他のアジアの国)」と聞き返した。
「Korean?」
なるほど。アメリカ人にとって中国人の次にくるアジアの国は韓国らしい。サムスンのスマートフォンやヒュンダイ(現代)の自動車など身近で韓国製品を目にする機会が多ければ仕方ない。
Japan ≠ Asia for Americans
ウォークマンのソニーもあるし、レクサスのトヨタもあるのだから、さすがに次は「Japanese」が来るだろうと「another(他は)」とさらに聞き返した。
「・・・・」
まさか。「Japanese」という単語を知らないはずがないだろう。しかし、その「Japanese」がアメリカ人の口から出てこないのだ。仕方がないのでこちらから「Japanese」と言っても、頭をかしげるそぶり。
お返しに「Where are you from?」と聞き返したら、「自分はブータンで生まれたがすぐにアメリカに移住した」という。ついムキになって、「私でもあなたの祖国のブータン国王夫妻が日本を訪れたことは知っているのに、あなたは日本のこと知らないのか」と言い返してしまった。