10年前にアメリカに住んでいたときは、日本車と比べると明らかに韓国車を見ることは少なかった。韓国車は品質やデザインで日本車に劣り、低価格を好む一部の消費者にしか受けなかったが、今や日本車にもひけをとらない。
現代の主力車「エラントラ」は12年に「北米カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞して、品質とデザイン両面で高評価を得た。また傘下の起亜自動車は06年からフォルクワーゲンで25年以上にわたってデザイナーを務めたペーター・シャライヤー氏を最高デザイン責任者(CDO)に迎えて、ヨーロッパの最先端のデザインを自社の車種に取り入れている。
日本の存在感が薄くなったのは、企業の凋落だけでなく、日本人のメンタリティにも原因があると感じた。
「高度成長期には日本人が世界中で製品を持って山の中まで分け入り営業活動していた」という逸話をよく聞く。だが豊かになりすぎた現代の日本人に、そのようなバイタリティはないようだ。
13億人の国民が天然資源を爆食する中国は、世界中で高騰する資源の権益を買いあさっている。シェール革命に沸くアメリカもご多分にもれず、中国の買いあさりリストに含まれている。シェール革命の経済効果について研究しているヒューストン大学のエドワード・ハーズ教授は、自身でも資源会社を設立して、知人の牧場でシェールオイルの掘削を準備している。掘削には多額の開発資金が必要になるため、資金集めに奔走していたところ中国人の投資家から相談があった。
金も出すが口も出す
中国人投資家
中国は「カネを出す代わりに中国人技術者を受け入れるよう迫ってきた」(ハーズ教授)という。どうやらアメリカの最先端の掘削技術を吸収して、中国内でも埋蔵が確認されているシェールガスの開発につなげようと企んでいるようなのだ。