アメリカ人の日本に対する意識の変化は世論調査の結果にも現れている。外務省が毎年米国で実施している対日世論調査によると、「アジアにおける米国の最も重要なパートナーはどの国か」との質問に対して、昨年は「中国」と回答した一般国民の割合が39%と最も多く、次いで「日本」は31%だった。1960年の調査開始以来、日本が1位の座を譲ったのは初めてだった。(ちなみに今年の調査では日本が再逆転している)
三洋電機の白物家電事業を買収した中国のハイアール。2012年第2四半期に約7000億円の赤字を発表したパナソニックと5000億円の黒字を発表した韓国のサムスン。シャープから出資を求められた台湾の鴻海精密工業。中韓台の家電メーカーが世界中で巨額の利益をあげ、事業を拡大する一方で、日本の家電メーカーの影は薄い。
今回の取材では2週間ほどロサンゼルスからニューヨークまで全米のホテルに泊まることになったが、ついに客室内で日本製テレビを1つもみかけることはなかった。
以前、3Dテレビの販売不調について、赤字垂れ流しでもテレビ事業を続ける理由を日本メーカーに問いただしたことがあった。どのメーカーも口を揃えて「テレビは家電の顔。リビングの中心で自社のブランド名が目にされることに意味がある」と答えていた。だが、皮肉にもその「家電の顔」がアメリカでは全て韓国メーカーの「SAMSUNG」か「LG」なのだ。
家電だけじゃない
自動車も猛追を受ける
家電ではすでに勝敗がついた感もあるが、日本の製造業の最後の砦ともいえる自動車でも、日本メーカーが韓国メーカーに逆転される日が来るかもしれない。
11年の世界販売台数は、約770万台のトヨタは3位だが、そのすぐ後(4位の日産・ルノー連合は除く)に、猛烈な勢いで販売台数を伸ばしてきたのが、671万台の韓国現代自動車だ。2001年と比べ11年は約30%しか増加していないトヨタに対し、現代は2.5倍も増加した。しかもリーマンショック後にトヨタは約2割も減少したにもかかわらず、現代は順調に販売台数を伸ばしてきている。