2024年3月4日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年11月26日

 11月3日、米国防省は、「2021年中国の軍事・安全保障進展年次報告」 (議会提出が求められている)を発表した。同報告は、①中国の核戦略拡大は加速化しており、27年までに700発、30年までに1000発の核弾頭を保有する可能性がある、②核の三本柱を達成した可能性がある、③警告即時発射(LOW)体制への移行を決めた兆候があると述べている。核の増大は、現状(300~400発と見積もられている)の 2、3倍となる。

切らせるべきでないバイデンによるNFUのカード

 10月末、FTは、バイデン政権が核の「ノー・ファースト・ユース(NFU)」政策への転換の可能性を検討しているが、同盟国は政策の変更をしないよう同政権に圧力を掛けていると報じた。他の報道は、 英仏独日豪などの条約による同盟国が米国に働きかけをしていると報じた。

 米国が目下行っている「核態勢の見直し」は年末までに結論が出される見通しである。16年、オバマ政権はNFUへの転換を検討したが、同盟国の反対を受けて止めた。バイデンは副大統領時代と20年の大統領選挙において核使用につき「Sole purpose(唯一の目的)」(核使用の目的を米国への直接核攻撃阻止や第一攻撃に対する報復などに限定する政策。基本的にNFUと同義)への転換を支持した。

 同盟国はバイデンが同盟国の意向を無視して決定する傾向があるとして懸念を強めているという。NFUや「唯一の目的」宣言への転換は、米国の拡大抑止力を弱めるものであり、軍事的インパクトも定かでなく、また露中などから何の譲歩も得ないでそのカードを切ることはやるべきではない。

 日本もきちっと米国に申し入れることは 当然のことである。なお中国はかつてより米国に対してNFUを採用するよう要求してきている。

   
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